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書名

間質性膀胱炎 ―疫学から治療まで

筆頭著者

日本間質性膀胱炎研究会・編

出版社名

医学図書出版

ISBNコード

ISBN978-4-87151-311-1

発行年

2002年5月

判型 / 頁数

A5判 / 160頁

分類

臨床医学系/泌尿器科学

価格

定価(本体2,800円+税)

内容

間質性膀胱炎は最近になってその存在が明らかになってきた疾患のひとつである.今までは、いわば妖怪のように、その存在すらも信じられないか、存在は信じられても姿は見えないか、見えていても見えないふりをされるかのいずれかであった.このような妖怪扱いは、この疾患の重要性を世に知らしめたアメリカでも初めはそうであった.しかしその実態が明らかになるにつれて、その存在を疑うものはもはやいない.一方わが国では、なぜかこの疾患はアメリカやヨーロッパに比べてごく稀であると強調されてきた.したがって、この疾患が疑われる患者が現れても、われわれ医療者の側にはその病気の名前さえ浮かんでこなかった.浮かんでも診断する自信がなかった.
やっと最近になって、その存在が確信的に語られるようになってきたところである.
このような妖怪扱かいは、尿失禁が病気として扱われるようになった経過とよく似ている.尿失禁は20世紀最後のタブーともいわれ、それに苦しんでいる人が多くいることはうすうす知られていながら、あたかも存在しないかのように、もしくは存在しても病気ではないかのように世の中では扱われてきた.診断や治療技術を持ち合わせない医師は、分からないとか治せないとだけ対応した.もっと悪い場合には、患者の訴えを否定したり気のせいだと決め付けたりして、結果的には患者に更なる苦しみを負わせていた.こうした中で、片や宇宙に人間を送り出せるまで科学が発展した世の中で、尿失禁に何もできないはずはないと立ち上がったアメリカ人の女性がいた.この活動はやがて日本にも押し寄せてきて、今や尿失禁は病気であるという社会的認知を得、診断や治療の研究もすすんだ.ここで注目すべきは、はじめに立ち上がった人が患者であったということである.
実は間質性膀胱炎についても、これがアメリカで社会的に広く認められるようになった契機は、ある患者の訴えからである.そして、その運動は現代の情報科学の利器を生かして非常にすばやく広まった.この本にも紹介されているが、文字通り世界中にそのネットワークがある.そして、間質性膀胱炎においては、尿失禁の轍を踏まないように医療側の対応も迅速である.あわせて、間質性膀胱炎の病態が徐々にではあるが科学的にも解明されてきている.しかしこのことは、問題がもはや解決したことを意味するものではない.むしろ今から解決が始まるのである.
この本は、このような時にめぐり合わせた者として何かできないかと考えた医師と患者の有志が、協力して作ったものである.そこでは教科書的な知識を受け売りで提供するのではなく、われわれが自分自身で見たこと・考えたこと・思ったことを、自分の言葉で語るようにした.読み手としては、患者と潜在的な患者と泌尿器科医を主とする医師を想定した.この病気は患者だけでも医師だけでも治せるものではないからである.だが相手とするのは、とにかくその病因も分からず診断法も治療法も混沌としている疾患である.そのために、文中の記述には多少の独断が入ることがあろう.しかしそれは、この病気が素性も知れぬ故であるとご理解くださり、お許し願いたい.
このような本が、もしもこの病気に関係する人々の何らかのお役に立つならば、われわれにとって望外の幸せである.

目次

第一章 歴史/山田哲夫/「間質性膀胱炎の歴史」
第二章 疫学/伊藤貴章/「間質性膀胱炎の疫学」-日本の現状-
第三章 病態/上田朋宏/「間質性膀胱炎の病態」/間質性膀胱炎は特殊な病態か?/A.間質性膀胱炎に関する疑問および仮説/B.炎症と間質性膀胱炎/C.間質性膀胱炎の病態を推理する/D.間質性膀胱炎の痛みについてどう考えるか?
第四章 診断/本間之夫/「間質性膀胱炎の診断」/臨床症状/検査とその所見/診断基準/重症度判定/鑑別診断/診断の実際
第五章 治療/伊藤貴章/「間質性膀胱炎の治療」/水圧拡張/内服薬/トピックス/膀胱内注入療法/Electric Stimulation(電気刺激)療法/外科的療法/膀胱訓練/その他の治療法/心理的サポート
第六章 症例/武井実根雄/「原三信病院における症例経験」/症例呈示/原三信病院における過去11年間の症例の集計
終わりに/上田朋宏
患者さん手記
はじめに
手記1:かあさんあの時はごめんね/蛇池佳子(家族)
手記2:M.A
手記3:安井星光
手記4:間質性膀胱炎(IC)について/20代女性
手記5:O.K
・・・ 質性膀胱炎患者の会 ・・・/「ともの樹」桂田正子