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書名

安保徹の原著論文を読む ―膠原病、炎症性腸疾患、がんの発症メカニズムの解明

筆頭著者

安保 徹・著(新潟大学教授)

その他著者等

渡邉 まゆみ 富山 智香子

出版社名

三和書籍

ISBNコード

ISBN978-4-86251-147-8

発行年

2013年2月

判型 / 頁数

B5判 / 472頁

分類

基礎医学系/免疫学

価格

定価7,150円(本体6,500円 税10%)

内容

現実に起こっている現象の実体や内容を理解することの大切さは、私達の「新生児の顆粒球増多」neonatalgranulocytosisの研究でもわかるでしょう。肺呼吸開始のストレスが交感神経緊張を引き起こし顆粒球増多を誘発していたのです。「白血球の自律神経支配」の法則との組み合わせで理解できるのです。 こういうストレスによって、交感神経支配下にある顆粒球増多の現象がわかると、炎症性腸疾患のメカニズムも解明できます。ストレス→交感神経刺激→顆粒球増多→粘膜破壊の連鎖です。このようにして、歯周病、胃炎、胃潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎、痔疾、卵巣嚢腫、突発性難聴などの発症メカニズムが次々と明らかになります。 「ストレスの正体」や「ガンの発症メカニズム」も現象の理解をかさねることで解明できました。descriptive studyの本当の威力をこの論文集で学んでほしいと思います。

目次

Chapter1 放射線照射胸腺摘出マウスへの骨髄移植による、胸腺外である肝臓でT細胞レセプターを中等度に有する細胞が産生された証明
Chapter2 各免疫臓器におけるTCRint細胞とNK1.1+T細胞の関係:NK1.1+T細胞がTCRint細胞の集団の中に存在する
Chapter3 胸腺外T細胞は、系統進化的にナチュラル・キラー細胞と胸腺由来T細胞の中間に位置する
Chapter4 急性虫垂炎の発症の一因は、交感神経活動増加による顆粒球増多である
Chapter5 成体マウス肝臓におけるc-kit+幹細胞と胸腺前駆細胞
Chapter6 マウスの胸腺および末梢リンパ球のニコチン性アセチルコリン受容体の同定
Chapter7 白血球とリンパ球サブセットの日内変動及び自律神経系機能との間の相関関係の可能性
Chapter8 分娩後、末梢血のみならず肝臓においても新生児顆粒球増多が出現する
Chapter9 拘束ストレスを与えた齧歯類の胃における潰瘍形成への顆粒球の関与
Chapter10 並体結合マウスの肝臓と腸における胸腺外分化T細胞の中にパートナー細胞の混合度は低い:その生物学的意味
Chapter11 糖質コルチコイド投与による顕著な骨髄内顆粒球および胸腺外分化T細胞数の増加
Chapter12 抗潰瘍剤の顆粒球抑制作用─胃潰瘍発症における顆粒球の役割
Chapter13 T細胞分化の胸腺外経路
Chapter14 自律神経系による免疫調節:がん、膠原病と炎症性腸疾患治療へのアプローチ
Chapter15 アトピー性皮膚炎患者のステロイドホルモン停滞とステロイド軟膏中止後の禁断症状における独特の白血球分画
Chapter16 ストレス後のナチュラル・キラーT細胞と顆粒球の機能は加齢に関連して変化する:各ステロイドホルモンと交感神経との相互関係
Chapter17 コラーゲン誘導性関節炎のマウスとパラビオーゼ(並体結合)したマウスの関節においてパートナーの顆粒球とリンパ球は混在しない:顆粒球およびリンパ球の局所産生の可能性
Chapter18 自己免疫疾患における免疫学的状態
Chapter19 低蛋白餌が自然免疫によるマラリア防御を強化する
Chapter20 αアドレナリン刺激が、体温、血糖、自然免疫におけるストレス適応反応に与える影響
Chapter21 高速水着の着用効果に関するもう一つの重要なメカニズム
Chapter22 ストレスによる体温、血糖、自然免疫の変化と糖質コルチコイドとの関連
Chapter23 がん患者の内部環境と提言:発がんは不利な内部状態を克服する解糖系への適応反応である