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書名

精神医学の科学哲学

原著者

Rachel Cooper

筆頭著者

村井俊哉・他監訳

出版社名

名古屋大学出版会

ISBNコード

ISBN978-4-8158-0807-5

発行年

2015年6月

判型 / 頁数

A5判 / 318頁

分類

臨床医学系/精神神経科学/精神医学

価格

定価5,060円(本体4,600円 税10%)

内容

切実な問いにこたえる ——。科学哲学の思考を応用して精神医学の世界をつぶさに分析、精神医学批判の様々な疑念に答えつつ、医療現場の実践に即した提言を行う待望の書。精神疾患の実在から、心と脳の関係、臨床試験の妥当性まで、複雑化する問題にいかに向き合うのか。

目次

第1章 はじめに —— 精神医学と科学哲学
     1 用語と概念について
     2 精神医学は科学だろうか?…… なんて、どうでもいいことだろうか?
     3 本書の概要

第2章 精神疾患の本性1 —— 精神疾患は神話なのか?
     1 精神科医に精神疾患がわかるのだろうか?
     2 精神疾患は歴史的に不安定なカテゴリーなのか?
     3 精神疾患は医学というより道徳の問題だろうか?
     4 精神疾患の症状は社会的文脈へあまりにも依存しすぎか?
     5 精神疾患を良いものとみなすことはできるか?
     6 まとめ

第3章 精神疾患の本性2 —— 精神疾患が実在するのなら、それは何なのか?
     1 身体疾患と精神疾患との区別
     2 生物学的学説
     3 フルフォードの行為に基づく学説
     4 障害についてのアリストテレス的学説
     5 込み入った学説
     6 ロッシュ的概念としての障害
     7 まとめ

第4章 精神医学における説明1 —— 自然誌に基づく説明
     1 自然種についての補足
     2 精神疾患は自然種であるという見解への反論
     3 精神疾患の類型は自然種なのか?
     4 帰 結
     5 まとめ

第5章 精神医学における説明2 —— 個別の個人誌
     1 素朴心理学的な理解についてのシミュレーション説
     2 シミュレーションと個人誌
     3 シミュレーションの限界
     4 伝統への回帰 —— 他の説と比較したときの個人誌のシミュレーション説
     5 倫理と個人誌
     6 まとめ

第6章 理論と理論との関係1 —— 異なるパラダイムが出会うとき
     1 パラダイムと通常科学についてのクーンの考え
     2 通約不可能性についてのクーンの考え
     3 精神医学におけるパラダイム
     4 クーンが論じなかったもう一つの問題 —— 専門職間の競合関係
     5 十全なコミュニケーションをともなわない協働関係
     6 パラダイム間を横断する十全なコミュニケーションを目指して
     7 まとめ

第7章 理論と理論との関係2 —— 還元主義
     1 三種類の還元主義
     2 心とは何か? 心についての理論は脳についての理論に還元できるか?
     3 方法論的還元主義
     4 まとめ

第8章 価値と利害関心の取り扱い1 —— 価値負荷的な科学としての精神医学
     1 事例研究にあたって
     2 様々な価値負荷性
     3 他の科学との比較
     4 何ができるだろうか?
     5 まとめ

第9章 価値と利害関心の取り扱い2 —— 大企業と治療の評価
     1 ランダム化比較試験 (RCT) について
     2 治療効果の評価にともなう問題
     3 精神医学における社会認識論と信頼の崩壊
     4 問題の診断
     5 精神医学に立ち返って
     6 まとめ

第10章 おわりに

監訳者解説