運動療法のなかでも指導者を必要としない「体操」は，患者さんが自宅で継続して行うことで，慢性疾患の痛みの改善や，サルコペニアやロコモティブシンドローム予防に寄与するため，整形外科医はもちろん，一般診療医，理学療法士，その他の医療スタッフにとっても必須の知識である。本書は，どの筋肉・骨を，どのように，どの程度（頻度・回数）動かしたら効果的か，260点を超える体操ポーズイラストを用いて詳述した，整形外科疾患の体操指導書。体操効果の判定や評価手法，運動療法のエビデンスと筋肉に及ぼす影響など体操に関する基礎知識を整理したうえで，整形外科外来で患者数が多く需要が高い体操を取り上げ，「疾患・症状別の体操」と「健康増進のための体操」に分けて構成。また，最も効果的な体操を厳選して掲載した指導箋PDFデータのダウンロード権付き。患者さんの自宅での体操継続をサポートするツールとして，プリントアウトして外来で配布でき，実際の診療の場ですぐに役立つ一冊。

1章　体操指導の準備
　01 「体操を指導する」とは
　02 指導のための運動機能評価
　03 体操の効果判定・評価手法
　04 予防医学としての体操

2章　筋肉を理解する
　01 運動療法のエビデンス
　02 体操と筋肉の働き

3章　実践　いざ体操の指導
　—疾患・症状にあわせた体操—
　01 頚部痛の体操
　02 肩こり・肩痛・肘痛の体操
　03 手や手指痛の体操
　04 腰痛の体操
　05 股関節痛の体操
　06 膝痛・鼡径部痛（グローインペイン）の体操
　07 足関節・足痛の体操

　—健康増進のための体操—
　08 ロコモ体操
　09 サルコペニア予防・進行防止のための体操
　10 骨粗鬆症（骨折）予防の体操—女性のライフサイクルに合わせて—
　11 運動器疾患への体幹トレーニング
　12 静脈血栓塞栓症予防のための体操
　13 心疾患患者を対象とした体操
　14 地域在住高齢者を対象とした体操
　15 健康増進のためのラジオ体操
　16 姿勢改善のための体操

Column
　　運動は患者さんの協力と努力によって成り立つ!
　　関節可動域と動作方法が上肢の生活動作に影響を及ぼす
　　患者さんの生活に必要な手の使用方法を考慮する
　　腰痛やほかの関節の痛みにも注意して
　　腰痛などほかの関節に痛みは出ていないか？
　　立位バランスの向上や日常使用する靴にも配慮を！
　　歩行距離の増加よりもロコモ体操が優先！
　　運動導入時のコツとは？
　　運動継続のコツとは？
　　メタボリックシンドロームと腹筋群との関係
　　患者さんの生活習慣にあわせた提案を!
　　運動のし過ぎで心不全？
　　ラジオ体操の意外な効果とは？
　　正しい姿勢のチェックは日常的に実施を！