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書名

DSM-5をつかうということ ―その可能性と限界

原著者

Joel Paris

筆頭著者

松崎朝樹・監訳(筑波大学医学医療系精神科診療講師)

出版社名

MEDSi

ISBNコード

ISBN978-4-89592-807-6

発行年

2015年3月

判型 / 頁数

A5判 / 272頁

分類

臨床医学系/精神神経科学/精神医学

価格

定価3,740円(本体3,400円 税10%)

内容

DSM-5の作成に携わった著者が、DSMがどういった意図で作成され、改訂されてきたかといった歴史的な側面や、改訂にまつわるエピソード、各診断基準の背景、最新版の利点と問題点などについてまとめた。DSM-5に関して、どこまでを参考にし、どこまでを限界と考えるかを鋭く考察する。精神科に携わる医療者がDSM-5を正しく使うための指南書とも言える論考。

目次

Part I 診断の原則

1. 精神科における診断の歴史
なぜ診断は重要なのか/疾患,障害,症候群/疾病分類学の原則/なぜ精神医学的診断は難しいのか/DSMシステム/DSM-III革命/DSM-IIIの与えたインパクト/1980年からのDSMシステム/DSMのシステムは精神医学をどう形作るのか/診断と治療

2. 診断マニュアルはいかにしてつくられたか
製薬会社との関係/透明性 vs. 機密性/教訓/スケジュール/フィールドトライアル/診断マニュアルの活用法/診断の追加/DSM-5は,より科学的になったのか/DSM-5の構造/リスク,利点,改訂点

3. 精神疾患とは何か(そして何が精神疾患ではないのか)
疾患と障害/精神障害の定義/DSM-5理論の課題/病気と人生の境界/有害な機能障害/DSMの範囲/感度と特異度/精神疾患とスティグマ/小児期の診断/DSM-5と専門家の役割/診断のインフレーションと流行

4. 診断の妥当性
信頼性と妥当性/妥当性のための基準/半構造化面接と自己記入式評価尺度/年齢と性別と文化の影響/妥当性の情報源としての治療反応

5. 次元性
次元性は何を測定するのか/次元性の臨床的有用性/次元性と研究/症状のスコアリング/診断のスペクトラム/自殺に対する評価尺度/次元的アプローチの展望

6. 臨床的有用性
コミュニケーションとしての診断/使いやすい診断基準の作成/5軸システムの消滅

Part II 各論
7. 統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群
統合失調症スペクトラムの定義/統合失調症と双極性障害の違い/統合失調症:単一の障害なのか多数の障害なのか/減弱精神病症候群/未解決の問題/統合失調症スペクトラムの今後の方向性

8. 双極性障害および関連障害
DSM-5での双極性障害/双極性障害の過剰診断/小児の双極性障害

9. 抑うつ障害
抑うつとは何か/うつ病の一元論/診断のための除外事項/DSM-5における変更/診断が治療に及ぼす影響

10. 不安障害,トラウマ,強迫性障害スペクトラム
パニック障害と全般性不安障害/恐怖症/心的外傷後ストレス障害と急性ストレス障害/強迫性障害

11. 物質関連障害,摂食障害,性機能障害
物質使用と嗜癖の境界/DSM-5における物質使用と嗜癖/行動嗜癖/神経性やせ症/神経性過食症/過食性障害/性機能不全,性別違和,パラフィリア

12. 神経発達症群と行動症群
神経発達症群/広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)/注意欠如・多動性障害/秩序破壊的・衝動制御・素行障害群/他のどこにも分類されない衝動制御の障害

13. パーソナリティ障害
パーソナリティ障害診断のこれまで/なぜパーソナリティ障害は無視されるのか/パーソナリティ障害の全般的な定義/多次元化/なぜパーソナリティ障害ワークグループの提案は却下されたのか/パーソナリティ障害のカテゴリー/その他のパーソナリティ障害のカテゴリー/良いニュースと悪いニュース/理論と実際のギャップ

14. その他の診断群
神経認知障害群/身体症状症/解離性障害/睡眠-覚醒障害群/排泄症群/自殺行動障害/適応障害/精神疾患のない患者/まとめ

Part III 概説
15. 迷えるあなたへ
DSM-5がメンタルヘルスケアに与えるインパクト/DSMと社会/臨床医はDSM-5をどう使うべきか/DSM-6に向けて/最後に

精神医学的診断に大きな影響を与えた人々