「がんの本態」「がんの診断」「がんの治療」に関する基礎的な知識を，生理学の観点から理解できるよう解説．オリジナルの豊富な図表とていねいな本文解説でやさしく読み進めることができる．医・薬学部，認定看護師養成課程で腫瘍学を教える筆者による，ツボを押さえた解説で日ごろのがんに対する疑問を楽しみながら解決．明日の実践に活かせる一冊．

【主要目次】
第I章　正常細胞の誕生と増殖と死
　1　正常組織の恒常性を維持する機構
　　A　今日のあなたは昨日のあなたと同じ？
　　B　ヒトの細胞にはなぜ寿命があるのか？
　　C　臓器の恒常性維持はどのように行われているのか？
　2　正常細胞はどのように生きているのか？
　　A　正常細胞の生存に必要な要素は何か？
　　B　なぜ分解して吸収するのか？
　　C　吸収された栄養はどのように絶え間なく供給されるのか？
　　D　エネルギーはどのように産生されるのか？
　3　正常細胞はどのように生まれるのか？
　　A　正常細胞はどのように増殖をスタートするのか？
　　B　増殖の指令はどのように核まで伝わるのか？
　　C　細胞周期
　　D　分化の機構
　4　老化した細胞はどのように死ぬのか？
　　A　細胞死の役割は何か？
　　B　大部分の細胞の死は自殺なのか？
　　C　細胞の生と死を決めるメカニズムは何か？
　　D　死を誘導するメカニズムがあるのか？
　　E　細胞死の例－ウイルス感染細胞のリンパ球による排除
第II章　がん細胞の誕生とがん細胞の特徴
　1　がんの特徴－がんとは何か？
　　A　腫瘍とは何か？悪性腫瘍とは何か？がんとは何か？
　　B　単クローン由来の証明
　　C　がんは何年くらいかかって大きくなるのか？
　2　がん細胞はどのように誕生するのか？
　　A　がん遺伝子とは何か？
　　B　がん抑制遺伝子とは何か？
　　C　遺伝子異常は1個で十分か？
　3　がん細胞は細胞死しにくいのか？
　　A　細胞死誘導シグナル伝達系の異常
　　B　テロメラーゼ活性と細胞の不死化
　4　がんの原因は何か？－遺伝子の変異をもたらしている原因
　　A　がんのなりやすさは遺伝するのか？
　　B　遺伝子変異とDNAポリメラーゼのミス
　　C　放射線の与える影響
　　D　化学発がん物質の作用
　　E　感染によるがん発症
　　F　重層的ながんの原因
　5　がん化に必要な血管新生
　　A　がん細胞は豊富な栄養と酸素に恵まれているのか？
　　B　がん組織における酸素濃度
　　C　血管新生のメカニズム
　6　がん幹細胞
第III章　どのように人はがんで死亡するのか？
　1　転移こそがん死亡の原因か？
　　A　がんの進展過程（原発巣の増大と転移）
　　B　がんの進行に伴う転移の増加
　2　転移先臓器の特異性
　　A　転移先として多い臓器とその理由
　　B　がんの違いによる転移先の好み（!？）の違い
　3　がん細胞の転移機構
　　A　正常に起こる細胞の移動とその機構
　　B　がんの転移に必要なステップは何か？
　4　がん細胞はなぜ転移するのか？
　　A　ケモカイン仮説
　　BS　eed ＆Soil Theory（種と畑仮説）
　　C　微小環境仮説
第IV章　がんの診断
　1　がんはどのように診断するのか？
　　A　がんの診断の実際の流れ
　　B　スクリーニング検査
　2　腫瘍マーカーとは何か？
　　A　腫瘍マーカーの定義
　　B　腫瘍マーカーの臨床的意義
　3　がんの確定診断には何が必要か？
　　A　細胞診
　　B　病理組織診断
　4　病気の進行度（病期）はどのように診断するのか？
　　A　病期診断の意義
　　B　病期分類
　　C　病期ごとの治療法選択
　5　最新の診断法
　　APET　／CT検査
　　B　遺伝子検査
第V章　がんの治療
　1　進歩するがん治療
　2　がんの手術療法
　　A　拡大手術から縮小手術へ
　　B　手術療法の実際の方法
　　C　手術療法の選択
　　D　内視鏡手術の進歩
　　E　鏡視下手術の進歩
　　F　高齢者に対する手術療法の進歩
　3　がんの放射線療法
　　A　姑息的治療法から根治療法へ
　　B　放射線療法の進歩
　　C　緩和治療としての放射線療法
　4　がんの化学療法
　　A　がん化学療法の基礎
　　B　がん化学療法のメカニズム
　　C　術後補助化学療法
　　D　術前化学療法
　　E　がん化学療法の副作用
　　F　抗がん薬耐性
　5　先端医療
　　A　免疫療法
　　B　新しい免疫療法
　　C　分子標的治療
第VI章　がんの予防
　1　そもそもがんの予防は可能か？
　　A　がんの原因
　　B　減っている「がん」はあるのか？
　　C　がんのリスク要因
　2　効率的ながん予防－高リスク要因をもつグループを対象に
　　A　高リスクグループ
索引