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書名

こころとからだを知る心拍数

筆頭著者

山地啓司・著

出版社名

杏林書院

ISBNコード

ISBN978-4-7644-1146-3

発行年

2013年8月

判型 / 頁数

B5判 / 384頁

分類

臨床医学系/スポーツ医学、運動器

価格

定価5,500円(本体5,000円 税10%)

内容

今や,医科学やスポーツ科学の学術分野の中でHRほど学会誌や専門誌で多く取り扱われてきたキーワードはありません.本書は,1980年以降に公表された重要かつ特色ある内外の5,000〜10,000編の論文を精査し,さらにこれまで内外の学術誌や専門誌に公表した著者の数十編に及ぶ論文を加え,また必要に応じてメタ解析を行いながらレビュー形式でまとめております.
また,HRは運動強度の指標だけでなく,日常生活の身体活動量,体調や疲労度の把握,あるいは疾病の診断や治療,心理的変動の把握等々の手段(指標)として広く用いられています.またHRは生理的指標だけでなく,心理的影響,つまり喜怒哀楽の心情を映し出す鏡であるとも言えます.この部分は,是非本書をお読みいただければと思います.
さらに,社会が加速度的に便利になると同時に,ヒトのからだの組織や器官が本来持つ機能が低下し,運動不足感や体力不足,肥満や疾病の増加として現れてきています.特に発育期にある子どもの基礎体力や運動能力の低下は,競争社会において元気に生き抜く力,“頑張る意欲”,すなわち“頑張る力”を弱めています.子どもたちに体力に応じた運動を処方する際に,HRは個々人の体力に応じた運動処方の指標として有効です.HRを運動の強度を知る手段として用いる時,心臓の働き,HRを用いる意義,あるいは運動様式,性や年齢・体力等の違いによる個々人の反応特性等を十分理解させる必要があります.それを助ける授業展開例を12章の「心拍数を用いた体育授業の展開例」として加えました.
本書は,医学関係の研究者・臨床家はもとより,教育学・体育学・健康スポーツ学の研究者,体育・スポーツの指導者を目指す学生や大学院生,現場のスポーツ指導者やトレーナー,リハビリテーションに携わる医療関係者等の方々にとって,有益な情報を網羅し,今後のHR研究から実践現場での活用に至るまでの示唆をも含んでいます.また「心拍数」に関連したコラムを設け,楽しく通読できる「HRのすべてが詰まった」1冊です.

目次

第1章 心拍の発生と調節機構
 1.心拍の起こり
 2.心拍の調整
 3.心拍変動の定量化
 4.まとめ
第2章 心拍数(脈拍数)を測る
 1.心拍数(脈拍数)測定の意義
 2.心拍数(脈拍数)の測定方法
 3.心拍数のカウント法
 4.主観的運動強度(RPE)と心拍数
 5.主観的心拍数と指示心拍数
 6.まとめ
第3章 心拍反応の特性
 1.理論的背景035
 2.安静心拍数(HRrest)
 3.最大下心拍数(HRsubmax)
 4.最高心拍数(maximal heart rate;HRmax)
 5.回復期のHR(recovery HR;HRrec)
 6.まとめ
第4章 運動の強度を知る
 1.スポーツ
 2.レフリー・コーチ・サポーターのHR
 3.ツアー
 4.静的運動(static exercise)
 5.労働の種類と強度
 6.まとめ
第5章 体力を測る
 1.安静心拍数(HRrest)と体力評価
 2.最大下心拍数(HRsubmax)と体力評価
 3.最高心拍数(HRmax)
 4.心臓の余裕力(HRmax−HRrest;HRR
 5.回復心拍数(heart rate recovery;HRrec)
 6.まとめ
第6章 エネルギー消費量を推定する
 1.エネルギー消費量の測定法
 2.HR−VO2直線を用いたエネルギー推定法
 3.測定方法の工夫と推定式
 4.解析方法の工夫
 5.まとめ
第7章 運動を処方する
 1.科学的根拠に基づくトレーニング理論の確立
 2.運動処方の基本概念
 3.心拍数を用いた運動処方
 4.その他の運動強度の指標
 5.まとめ
第8章 心拍反応を変える因子
 1.呼吸と心拍数
 2.潜水徐脈(diving bradycardia)
 3.運動中の顔つけによる徐脈
 4.冷たい風による徐脈
 5.心臓の不整脈
 6.トレーニングとディトレーニングにみられる徐脈現象と頻脈現象
 7.まとめ
第9章 心拍数のゆらぎ現象
 1.心拍変動と周波数分析
 2.心拍変動に影響する因子
 3.まとめ
第10章 生体リズムとHR
 1.環境リズムと生体リズム
 2.サーカディアンリズム
 3.サーカディアンリズムと日々(day−to−day)の変動
 4.サーカルーナルリズム(circalunar rhythm)
 5.サーカアニュアルリズム(circaanual rhythm)
 6.睡眠とリズム
 7.カップリング(coupling)
 8.まとめ
第11章 精神的ストレスと心拍数
 1.身体活動と精神的ストレス
 2.情動(emotion)と心拍数
 3.こころとからだのシンフォニー
 4.心拍のコントロール
 5.まとめ
第12章 子どもの生活習慣の現状と心拍数を用いた授業の展開例
 1.現代の子どもの身体活動状況と問題点
 2.子どもの身体活動量の到達目標
 3.子どもの健康・体力づくりと心拍数
 4.心拍数を用いた授業の展開例
 5.自律神経の働き
 6.運動強度と自律神経の作用
 7.HRrestの特性
 8.まとめ
第13章 補章
 1.代謝量とアロメトリー式
 2.走と歩にみられる心拍変動
 3.性活動と心拍数
 4.妊婦と胎児・乳児の心拍数
 5.自律神経の遮断と心拍数
 6.姿勢反射と心拍数
 7.たばこと心拍数