統合失調症の治療のうち、抗精神病薬を用いた適切な薬物治療を行うための必要知識を抽出し、誰にでもわかりやすく気軽に読めることを目指しまとめられたハンドブック。

目　次

第1章　抗精神病薬の歴史 ＜中村　純＞　1
　A．第I期：クロルプロマジン（CP）以前（有史以前から18世紀まで） 1
　B．第II期：クロルプロマジン（CP）の発見 4
　C．第III期：CP発見以降 5
　D．第IV期：第三世代抗精神病薬アリピプラゾール（ARP）開発以降 8

第2章　抗精神病薬の適応となる疾患 ＜中野和歌子＞　11
　A．抗精神病薬が保険適応に該当する疾患 11
　　1　統合失調症 11
　　2　双極性障害 13
　　3　うつ病，うつ状態 13
　　4　その他 14
　B．保険適応外であるが臨床上で使用される疾患 15
　　1　適応外使用について 15
　　2　双極性障害 16
　　3　うつ病 17
　　4　認知症（behavioral and psychological symptoms of dementia）に対して 18
　　5　せん妄 20
　　6　その他 20

第3章　抗精神病薬の種類と基本的な作用 ＜水野裕也，渡邊衡一郎＞　22
　A．抗精神病薬の作用機序 22
　　1　ドーパミンD2受容体と抗精神病効果 22
　　2　その他の受容体に対する作用と効果 24
　B．抗精神病薬の種類 25
　　1　定型抗精神病薬 26
　　2　非定型抗精神病薬 27
　　3　抗精神病薬の持効性注射剤 28
　C．抗精神病薬の基本的な使い方 29
　　1　薬剤選択 29
　　2　原則として単剤で使用 29
　　3　投与量と投与期間 30
　　4　身体的なモニタリング 30
　D．抗精神病薬の限界 31
　〈コラム〉抗精神病薬の併用療法および大量療法とその是正について 32

第4章　定型抗精神病薬 ＜新開隆弘，吉村玲児＞　35
　A．日本の抗精神病薬処方の現状 37
　B．定型抗精神病薬の種類と特徴 38
　C．定型抗精神病薬で認められる重篤な副作用 40
　　1　遅発性ジスキネジア 40
　　2　悪性症候群 40
　　3　水中毒 41
　D．アドヒアランス 42

第5章　非定型抗精神病薬 ＜吉村玲児＞　45
　A．定　義 45
　B．薬理学的プロファイル 46
　　1　リスペリドン 46
　　2　オランザピン 48
　　3　クエチアピン 50
　　4　ペロスピロン 52
　　5　アリピプラゾール 53
　　6　ブロナンセリン 56

第6章　クロザピン ＜櫻井　修，黒木俊秀＞　60
　A．薬理学的特徴 60
　B．治療抵抗性統合失調症の定義 61
　C．Clozaril Patient Monitoring Service（CPMS） 63
　D．クロザピン使用の実際 63
　　1　適応に関する検討と禁忌 63
　　2　同意と導入 65
　　3　前治療薬からの切りかえ 65
　　4　投与開始後 66
　　5　CPMSによるモニタリング 66
　E．クロザピンの有効性と限界 67
　F．副作用とその対処 69
　G．クロザピン抵抗性統合失調症の治療 72

第7章　抗精神病薬の代謝と相互作用 ＜三原一雄，中村明文，近藤　毅＞　76
　A．薬物動態学的相互作用－薬物の体内動態 76
　B．薬力学的相互作用 86

第8章　抗精神病薬使用時に注意すべきこと ＜長嶺敬彦＞　89
　A．至適最小用量を考えよう 89
　B．抗精神病薬の副作用 90
　C．錐体外路症状と脳内D2受容体占拠率 90
　D．悪性症候群 91
　E．過鎮静 92
　F．心突然死（QT延長） 93
　G．便秘とイレウス 93
　H．急性腹症 94
　I．誤嚥性肺炎 95
　J．高プロラクチン血症と低プロラクチン血症 95
　K．代謝に関する副作用は，受容体プロフィールで予測できる 96
　L．離脱やリバウンド現象 98
　M．急性期の血液検査データの特徴 99

第9章　双極性障害の薬物療法─非定型抗精神病薬も含めて ＜帆秋伸彦，寺尾　岳＞　100
　A．気分安定薬 101
　　1　リチウム 101
　　2　バルプロ酸，カルバマゼピン，ラモトリギン 103
　B．非定型抗精神病薬 112
　　　日本うつ病学会の双極性障害の治療ガイドライン 113

第10章　抗精神病薬選択のエビデンス ＜嶽北佳輝，加藤正樹＞　122
　A．薬剤選択 122
　B．剤型選択 130

第11章　統合失調症の治療ガイドライン ＜岸　太郎＞　136

索引 149