“ひきこもり”を医学的，臨床的な視点からとらえ，その概念から診断や治療のポイント，社会的支援の方法などまで，実際の症例を交えながら具体的に解説した実践書．

目　次

1 ひきこもり概念の形成史＜境　泉洋＞ 1
1 ひきこもり概念形成の基軸 1
2 本稿におけるひきこもり概念 2
3 ひきこもり概念の形成前史 4
4 第1期：社会問題としての注目された「ひきこもり」 6
5 第2期：精神保健福祉活動の対象としての「ひきこもり」 7
6 第3期：精神科医療におけるひきこもりの位置づけの明確化 8
7 福祉的支援の対象としての「ひきこもり」 10
8 ひきこもり概念の変遷 12
9 ひきこもり概念の今後 13

2 ひきこもり評価・支援に関するガイドラインの概要
＜齊藤万比古＞ 17
1 新ガイドライン成立の背景 17
2 不登校とひきこもり 19
3 「ひきこもり」の定義 19
4 ひきこもりの量的推計 21
5 精神保健的支援の必要性 22
6 ひきこもりの多軸評価 23
7 ひきこもり支援の構造的理解 30
8 地域連携ネットワークの必要性 31
9 アウトリーチ型支援について 32
10 ひきこもり支援の諸段階 34
11 今後の課題（まとめ） 37

3 子どものひきこもり（不登校）の精神医学的診断・評価＜青木桃子　渡部京太＞ 39
1 適応障害 40
2 不安障害 41
　　分離不安障害　41　　社交不安障害　41　　全般性不安障害　42
　　パニック障害　42　　急性ストレス障害，PTSD（外傷後ストレス障害）　42
3 強迫性障害 43
4 気分障害 44
5 神経表現性障害 46
　　身体化障害　46　　鑑別不能型身体表現性障害　47　　転換性障害　47
　　疼痛性障害　47　　心気症　47
6 反抗挑戦性障害 48
7 妄想性障害 49
8 統合失調症 50
9 不登校と発達障害 51
10 注意欠如・多動性障害 52
11 広汎性発達障害 54
12 学習障害 55
13 軽度精神遅滞と境界知能 56

4 青年期ひきこもりケースの精神医学的診断・評価
＜黒田安計＞ 58
1 ひきこもりの推計 58
2 精神医学的評価 59
3 ひきこもりを主訴とする相談の精神医学的多様性 59
気分障害（事例A） 61
不安障害　1）強迫性障害（事例B） 62
不安障害　2）社会恐怖（社交不安障害）（事例C） 63
パーソナリティ障害（事例D） 63
アスペルガー障害（事例E） 64
軽度精神遅滞（事例F） 66
統合失調症（事例G） 67
4 ひきこもりの包括的評価 68

5 ひきこもりケースの治療・支援―基本的な考え方
＜近藤直司＞ 75
1 新ガイドラインにおける治療・支援指針 75
2 ひきこもりケースの治療・支援に特徴的なこと 76
3 治療・支援における個別性とグループ分け 80
4 ひきこもりをきたしている発達障害ケースへの治療・支援 82
5 治療・支援論を整理するために 84

6 ひきこもりの精神病理と個人精神療法＜塚本千秋＞ 88
1 ひきこもりの発生理解 88
2 ひきこもりの段階の理解と対応 90
「かろうじて通院」状態（レベルⅠ）（事例A） 91
「外出困難，通院拒否」状態（レベルⅡ）（事例B） 94
「全面的閉じこもり」状態（レベルⅢ）（事例C） 97
「関係の病理が開花した」状態（レベルⅣ）（事例D） 98
3 ひきこもりの心性理解と個人面談 101

7 集団療法＜榊原　聡＞ 111
1 就労と社会参加に向けたグループワークの基本的考え方 111
2 グループワークの実際と有効性 115
3 あるデイケアの例 119
4 今後に向けて 126

8 家族支援＜荒木暢通　近藤直司＞ 128
1 ひきこもり家族相談の特徴 128
2 家族の理解 130
3 家族支援の目的と方法論 133
4 初期の対応 134
5 本人についての査定 134
6 家族についての査定 136
7 家族への働きかけ 136
8 家族グループの活動について 139
9 事例 140

9 ひきこもりと薬物療法＜来住由樹＞ 143

10 精神科救急医療および入院治療＜大重耕三＞ 158

11 地域支援システムとの連携について

12 ひきこもり問題の社会学的側面と支援のあり方について＜斎藤　環＞ 192

索引 207