書名 |
統合失調症を生きる ―精神薬理学から人間学へ |
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筆頭著者 |
長嶺敬彦・著(吉南病院 内科部長) |
出版社名 |
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ISBNコード |
ISBN978-4-88002-832-3 |
発行年 |
2012年4月 |
判型 / 頁数 |
A5判 / 118頁 |
分類 |
臨床医学系/精神神経科学/精神医学 |
価格 |
定価3,300円(本体3,000円 税10%) |
著者の考える、疾患とともに歩む「統合失調症を生きる」という視点から、現代の精神薬理学や脳科学の進歩などを、物語風にわかりやすく紹介した書籍です。
A.臨床の視座
■麻酔科医の発想―精神科薬物療法を外科手術に たとえると
■もっともすぐれた医療機器は何か
■役立つ情報とは
■鍵の文化
■何も言えない
B.統合失調症とは
■陽性症状と陰性症状
■前駆期の重要性―精神疾患の一次予防ができる可能性
■疾患の近縁性
■遺伝は決定論ではない
■4つのドパミン経路
■統合失調症の治療
■幻聴が苦しいのではない
■妄想と錯誤帰属
■私はだれ
■プレパルス抑制
■統合失調症が「治る」とは
■3つの疾患との闘い
■併存疾患を多用すると本質を見失う
■If―家族の視点
C.抗精神病薬の臨床効果を最大にする方法を考える
■「抗精神病作用」とは難解なパズル
■抗精神病薬の開発は現在進行形である
■治療手段―介在する物質のコントロール
■糖尿病でのレガシー効果(legacy effect)
■統合失調症における臨界期仮説(critical period theory)
■臨床効果は3本の矢
■抗精神病薬の副作用
■コインの表と裏
■Pinesの共通点
■非定型抗精神病薬は寿命を縮めるのか?
■「至適最小用量」が最大の効果を生む
■至適最小用量の問題点
■非定型性とは
■部分アゴニストの薬理作用を理解する
■受容体と神経回路の違い
■ドパミン・システムの回復に必要なものは
■部分アゴニストはプロラクチンを低下させる
■低プロラクチン血症も副作用?
■部分アゴニストの功罪
D.ドパミンの役割
■ドパミンの低下は活気を損なう
■学習とドパミン
■ドパミンの意味論―サリエンス
■夢に関するHobsonの立方体モデルとドパミン
■ドパミンと境界線
■報酬系とドパミン
■直感とドパミン
■ドパミンD2受容体の過感受性―D2High受容体の存在
■ドパミンのすごさ
E.変動幅を考える
■量と質
■変動幅というドパミン遮断の「質」をコントロールする
■D2遮断の時間軸を考える
■症状のゆらぎ(1):効果の減弱―症状のブレを防ぐにはD2遮断の変動幅を小さくすることが大切
■症状のゆらぎ(2):副作用の増強―知覚変容
■知覚変容発作と夢
■ドパミンを必要以上に遮断すると
■錐体外路症状はいまだに大きな問題である(1)
■錐体外路症状はいまだに大きな問題である(2)
■錐体外路症状はいまだに大きな問題である(3)
■窒息
■効果曲線の左方移動
■変動幅を小さくするには
■精神医療以外で変動幅が重要である現象(1):高血圧
■精神医療以外で変動幅が重要である現象(2):糖尿病
■精神医療以外で変動幅が重要である現象(3):パーキンソン病
■高脂血症の「量」と「質」
■脂質の二次元平面図(Two-Dimensional Map with nonHDL-C)
■抗精神病薬による体重増加での脂質代謝障害
■非肥満での脂質代謝障害
■代謝のABC
■変動幅(fluctuation),スパイク(spike),サージ(surge)が危険である理由
■「量」と「質」をコントロールする
F.臨床精神薬理学の限界
■臨床精神薬理学の問題点
■受容体での椅子取りゲームを考える
■アンタゴニストはアゴニストの対極にあるのではない
■ネット・アンタゴニスト
■神経系の機能は"創発"である
■コネクトーム
■蟻の行列
■創発にはニューロンのノイズが必要
■受容体にもノイズがあるはず
■機能があることが必ずしもいいのではない―失うことで進化する
G.非薬物療法の重要性
■薬物療法を万能にしてはいけない
■足音が肥料になる
■認知行動療法
■認知行動療法は分かりにくい?
■自分で実現してしまう予言
■スキーマは固定的ではいけない―5匹サルがいるとバナナにありつけないのはなぜ?
■認知行動療法と精神科薬物療法は近い
■心とは
■「溜め込む」ことの弊害
■抗精神病薬の本当の作用とは
■ココ,カラ主義
エピローグ
■「大量」は問題
■「大漁」も不幸かもしれない
■人間は強いようで弱い?
■弱くても前に進める