書名 |
地域医療は再生する ―病院総合医の可能性とその教育・研修 |
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筆頭著者 |
松村理司・編著 |
出版社名 |
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ISBNコード |
ISBN978-4-260-01054-2 |
発行年 |
2010年6月 |
判型 / 頁数 |
A5判 / 304頁 |
分類 |
医学一般/医学教育 |
価格 |
定価3,080円(本体2,800円 税10%) |
多くの勤務医が専門医である日本の病院は、常に「非互換性の無駄」が付きまとう。また国民に対して「断らない救急医療」を質高く恒常的に展開することも難しい。しかしながら間口が広いだけでは、一人前の総合医ではない。当然、奥行きが必要なのである。地域医療崩壊の危機を前に、期待されるべき病院総合医の可能性と彼らの育成について、大リーガー医でも知られる音羽病院ほかの実践を詳述。
I 市立舞鶴市民病院辞職のてんまつ
1 個人史を語るわけ
2 うわさの真相
3 抽出できる普遍的意味
II 病院崩壊の時代
1 新医師臨床研修制度の影響
2 その他の理由
3 歴史的俯瞰
4 吉本隆明氏と岡本祐三先生の表現より
5 医師臨床研修制度の見直し
III 病院崩壊の打開策
1 医学部定員の増員
2 メディカルスクール構想
3 医師事務作業補助体制の充実
4 チーム医療下でのスキルミックスの推進
5 ナース・プラクティショナーやNurse anesthetistなどの育成
6 「総合医としての開業医」の拡充
7 女性医師対策
8 「医療安全調査委員会」の設置
9 無過失補償制度
10 偏向のないメディア報道
11 低医療費政策・医療費抑制政策の抜本的改革
12 国民・市民(消費者)の理解・納得-低負担・低福祉から中負担・中福祉へ
13 院長の出番
14 医師側の反省
IV 病院総合医(ホスピタリスト)の立場から
1 総合医の定義─家庭医から病院総合医まで
2 “大リーガー医”とは
3 日本版ホスピタリストとは
4 総合医と専門医の握手
5 日本の中小病院の勤務医
6 専門医の非互換性・目線の高さ
V 「1つ上の段階の総合医」を目指して
1 診断推論・臨床推論の訓練
2 治療のEBM
3 チーム医療下での屋根瓦方式教育指導体制の構築
4 「総合する専門医」
5 専門医認定制度の構築
6 画像診断や手技の訓練
VI 洛和会音羽病院の医局と総合診療科
1 沿革と現状
2 総合医局
3 総合診療科の陣容と教育内容
4 総合診療科とDPC
5 総合診療科の出前(“雑務”)
6 総合診療科の玉手箱より-狂犬病騒動
7 “大リーガー医”招聘
8 総合診療科のアクションプラン
9 洛和会京都医学教育センターからの発信
VII いくつかの地域病院における総合診療
A 洛和会丸太町病院
1 はじめに
2 洛和会丸太町病院の特徴
3 洛和会音羽病院の特徴
4 丸太町病院に総合内科医が常駐するようになった背景
5 総合内科医の質を向上させるために
6 地域貢献を願う心
B 江別市立病院
1 はじめに
2 研修の特徴
3 研修の詳細
4 病棟研修の内容
5 週間スケジュール
6 おわりに
C 諏訪中央病院
1 はじめに
2 諏訪中央病院の現状
3 諏訪中央病院,内科/総合診療部
4 なぜ内科/総合診療部が成立するか
5 総合診療は卒後1~5年目の世代が支える?
VIII 臨床研究をめぐって
A 総合診療と臨床研究
1 臨床研究について-歴史とこれから
2 音羽病院での臨床研究-現状・問題点
3 総合診療と臨床研究の今後
4 臨床研究や疫学を学ぶ
5 推薦図書
IX 教育研究をめぐって
A ジェネラリストが担う教育研究
1 はじめに
2 臨床実習のあり方
3 医療安全教育
4 ケースメソッド授業の導入
5 指導医講習会の開発
6 医師向けの臨床研究スキル教育(狭義の医学教育研究も含む)
7 まとめ
B ジェネラリストのアカデミックキャリア
1 はじめに
2 市立舞鶴市民病院内科における卒後初期臨床研修
3 市立舞鶴市民病院内科の卒業生の共通した行動
4 医学教育に関する疑問-社会政策と社会科学の間で
5 医学教育学という学問の存在
6 医学教育学研究
7 医学教育学という専門をもつ総合医
8 おわりに
X 展望
1 中小病院と総合診療
2 高齢社会と総合診療
3 専門医認定制度と総合診療
4 マッチングと総合診療
5 医療安全と総合診療
あとがき
索引