『耳鳴の診察室』は貴方の耳鳴が徐々に意識の背景にとけ込み，生活のなかで聞こえなくなることを期待しながら書きました。この本は「本人に聞こえない耳鳴ってあるの？」という問いかけからお話しを始めました。そして，耳鳴を含む不快な音ってどんな音かを考えます。洪水のように耳から入ってくる音を分別する脳の作業場を見ていただきます。ただ見るだけでなく，貴方もこの作業場で一緒に働きましょうと提案します。
耳鳴のかげにはいろいろな病気が潜んでいますから，まずは専門医の診察を受けてください。そして重大な病気がないとわかったとき，ではどうするか説明を受けるでしょう。医師の説明が理解できないこともあるでしょう。聞いているときはわかったつもりでも後から考えるとわからないこともあります。そのようなとき，繰り返し繰り返して読んでください。この本が多くの患者さんの耳鳴を癒し，さらに診療に携わる医師，関係の方々のお役にも立てば大変嬉しいことです。

おもな内容
1.本人に聞こえない耳鳴ってあるの？　2.音を聞く仕組み　3．耳鳴の起こるわけ（体の中の振動体（音源）は耳鳴となる／体の中に振動体のない耳鳴／誰でも経験する耳鳴）　4.不快な音ってどんな音？5.正常な脳での音分別作業　6.眠れない人々のために（眠りと音／眠りと耳鳴／眠れない人々のために）　7.耳鳴を起こす病気（無難聴性耳鳴／中耳とその近辺の病気／内耳の病気・聴神経鞘腫，神経血管圧迫症候群／全身の病気／心の病気）　8.耳鳴の診察室（どの診療科を受診したらいいの？／耳鳴の検査と診断）　9.治療にあたっての貴方の役割（貴方はただ治療を受けるだけですか？／「無視」と「気にしない」は大違い／耳鳴を治り難くしている考え）　10.耳鳴の治療（補聴器／マスカー（耳鳴遮蔽器）／耳栓／バイオフィードバック／薬の治療／カウンセリング／認知療法／TRT（ Tinnitus Retraining Therapy））　文献　索引

読者対象
耳鼻咽喉科，内科，神経内科，言語聴覚士，看護師，患者

●B5変形判 104頁 28図
●定価2,100円（本体2,000円＋税5％）
●ISBN978-4-307-37090-5