書名 |
第2世代抗精神病薬の臨床 |
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筆頭著者 |
武田俊彦・編著(慈圭病院 副院長) |
その他著者等 |
羽原 俊明(慈圭病院 医局長)、佐藤創一郎(慈圭病院 病棟医長) |
出版社名 |
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ISBNコード |
ISBN978-4-88002-494-3 |
発行年 |
2007年10月 |
判型 / 頁数 |
A5判 / 135頁 |
分類 |
臨床医学系/精神神経科学/精神医学 |
価格 |
定価2,970円(本体2,700円 税10%) |
(序文より抜粋)
この本の目的は、第2世代抗精神病薬に関しての薬理学的情報、特に日常の臨床現場で役に立つ判断材料を提供することです。
近年、統合失調症に対する薬物療法の分野でも、エビデンスに基づく医療が重視され、科学的、実証的な研究結果が集積されつつあります。しかし実際の臨床場面では、このような科学的、実証的な結論が薬物療法状のすべての問題を解決するまでには至っていません。抗精神病薬に対する反応性は個体差が大きく、個々の症例ごとに薬剤選択や用量決定をしなければなりません。特に患者のquality of life(QOL)を最高レベルに保つには、薬理学的な知識を駆使するだけではなく、患者自身や病気への深い理解や経験に裏打ちされて鋭い洞察が求められます。個々の患者との相互作用を通して、現時点で臨床上の不確定な要素を合理的に裁量し、科学的事実も駆使して薬物を適正に使用していく、これが薬物療法という医術(art=技術)であり、日常の精神科臨床で求められているものではないでしょうか。
この本は、第2世代抗精神病薬に関して集積された科学的、実証的な情報と臨床現場でのartとしての薬物療法の架け橋となることを意図して書き上げました。そこで内容面では、科学的情報を網羅的に紹介することはせず、思い切ってそれらを取捨選択し、再組織化し、筆者の意見も付け加えることによって、臨床場面に即した情報を提供できるよう心がけました。言い換えれば、ある程度独断的な解釈に陥る危険をおそれずに書いたということです。その点はご容赦下さい。
医術はエビデンスに影響を受けつつも常にそれを超えたところにあるものであり、私たち臨床家は常にエビデンスを超えたセンスを磨いていかなければなりません。この本がその一助となれば幸いです。
はじめに
A.病気から美しい回復
B.美しい回復を得るために
C.美しい処方と第2世代抗精神病薬
1.第2世代抗精神病薬の意義
A.第1世代薬と比較したメタ解析
B.第2世代薬の臨床的意義は
2.抗精神病薬の薬理学的特徴
A.解離定数(Ki値)と用量換算Ki値
B.D2受容体阻害時間
C.D2受容体のKi値と受容体阻害時間が個人反応性に及ぼす影響
3.第2世代抗精神病薬各論
A.Risperidone
B.Quetiapine
C.Perospirone
D.Olanzapine
E.Aripiprazole
4.第2世代抗精神病薬のスイッチング
A.スイッチングに際しての一般的注意
B.スイッチングに必要な知識と技能
5.Clozapineについて
A.薬理学的基礎情報
B.臨床的特徴
C.副作用関連
D.無顆粒球症と臨床使用に関する制度
E.新しい剤型DHA-clozapine