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書名

アメリカ精神科ER ―緊急救命室の患者たち

原著者

レネイ・J・マラー

筆頭著者

田中芳文・訳(島根県立看護短期大学教授)

出版社名

新興医学出版社

ISBNコード

ISBN978-4-88002-166-9

発行年

2007年3月

判型 / 頁数

四六判 / 263頁

分類

臨床医学系/精神神経科学/精神医学

価格

定価2,750円(本体2,500円 税10%)

内容

● ERに長年勤めてきた著者が、精神疾患患者が抱える世界観を実存主義的視点で描き出した名著の完訳。
● 精神科の患者は、まわりの世界をどのように捉えているの? まわりの人たちをどのように眺めているの? その行動の裏にはどんな感情や理屈が働いているの? ……こういった疑問に回答を与えてくれます。
● 精神科専門医はもちろん、外来患者に接する一般医や看護師、精神科を目指す学生などにもおすすめします。
● また、患者家族など一般の方が読んでも、精神科患者を理解するのに役立つ内容です。

日本で精神疾患治療を受けている患者数は250万人から300万人と言われています。しかし、彼らは初めから精神科専門医を受診するとはかぎらず、内科などのプライマリ医のもとを訪れることがたびたびあります。実際、精神科以外の開業医や勤務医からは「じつは、いちばんてこずるのが心臓神経症や不安神経症等の患者さん」という声が聞かれます。精神的な問題から来る病気であると見抜けないと、いたずらに無駄な治療が行われるばかりでなく、医師・患者双方にストレスが与えられてしまいます。本書は、精神科救急の豊富な経験を持つ著者が、精神疾患患者とはどういった状況にある人なのかわかりやすく解説した本であり、上記のようなケースを避ける一助となるものです。
また、精神疾患を不可解なもの、奇怪なものと切り捨てずに、一般の人(健康な人)にも患者の内面がどのようになっているのか、患者がどのような思考経路を辿っているのか理解できるよう、実存主義をツールに使い解説を試みた意欲作でもあります。
本書の前半では鬱病や境界性パーソナリティ、ドラッグ中毒、統合失調症などといった疾患を有する患者さんの典型的な例を取り上げ、彼らがどんな世界を抱え、どんなふうに感じ考えているか、著者の目を通し理解することができます。後半では意図せずに精神疾患を演技してしまう患者や、殺人を働いたと主張する患者、身体疾患から精神疾患が発生している例など、一見では不可解と思われる症例を取り上げています。
本書が医療関係者にとどまらず、より多くの人に読まれることで、社会の精神疾患への理解が深まることを期待します。

目次

第 I 部 わかりやすいストーリー
第1章 鬱病 押しつぶれる世界
第2章 パニック ばらばらになる世界
第3章 境界性パーソナリティ 壊れやすい世界、変わりやすい気分
第4章 多重人格性 二つ以上のアイデンティティで世界を相手にする
第5章 アルコール 口で自分の世界を化学的に変える
第6章 ドラッグ 鼻と静脈で自分の世界を化学的に変える
第7章 双極性鬱病 あまりにも憂鬱な世界
第8章 双極性躁病 あまりにも高揚しすぎる世界
第9章 統合失調症 世界を他人と共有することができない
第10章 アルツハイマー型認知症 記憶の糊にひびが入るように世界が溶けていく

第 II 部 複雑なストーリー
第11章 感情の依存によってもたらされるパニック障害
第12章 統合失調症と間違われる演技性

第 III 部 隠された、そして奇怪なストーリー
第13章 詐病者と操縦者
第14章 「ダンプ」
第15章 「スタンブル」
第16章 殺人と身体傷害、かもしれない

第 IV 部 一般身体疾患的要素のあるストーリー
第17章 なぜこの統合失調症患者には人の声が聞こえているのか?
第18章 どのようにして腹痛が首を曲げたのか
第19章 危ない過剰摂取、でも何を?
第20章 閉鎖性頭部損傷が妄想性精神病をもたらす
第21章 しゃっくりを抑えようとして死ぬ危険を冒した患者
第22章 精神病性の症状の理由として見逃される譫妄

第 V 部 患者たちのストーリーはどのようにして精神科の診断をもたらすのか
第23章 精神科診断における患者の物語「大切なのは患者の話すストーリーだよ、そんなこともわからないのか!」
第24章 失感情症 語るべきストーリーがないとき
第25章 「安全の契約」を再調整する
第26章 緊急救命室におけるジャン-ポール・サルトル