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書名

小児のうつと不安 ―診断と治療の最前線

筆頭著者

傳田健三・著(北海道大学助教授)

出版社名

新興医学出版社

ISBNコード

ISBN978-4-88002-658-9

発行年

2006年6月

判型 / 頁数

B5判 / 125頁

分類

臨床医学系/精神神経科学/精神医学

価格

定価3,630円(本体3,300円 税10%)

内容

(「序にかえて」より)

本書を出版しようと考えた理由は以下の三点である。
第一に、大人のうつ病や不安障害などのうつと不安を主症状とする疾患が、近年急激に増えている現状があることである。
心理社会的ストレスが増大していることがその背景に存在すると考えられる。いま、私たちは「うつと不安の時代」に生きているということができるだろう。
第二の理由は、臨床で出会う子どもたちも、このような世の中の変化を敏感に感じ取り、確実に変わりつつあるという実感があることである。
マスメディアは子どもの事件や犯罪をやや請求に取り上げ、現代の子どもたちが凶悪化しているかのような報道を行っているが、はたしてそうだろうか。臨床医としては、子どもたちも大人と同様に、うつと不安を中心とした病態を呈するようになってきたというのが実感なのである。
第三の理由として、そのような状況にもかかわらず、わが国では、子どものうつ病や不安障害はほとんど取り上げられてこなかった現実があることである。
近年、欧米を中心に子どものうつ病や不安障害が一般に認識されているよりもずっと多く存在するということが明らかになってきた。しかも、従来考えられてきたほど楽観はできず、適切な治療が行われなければ、青年あるいは大人になって再発したり、他のさまざまな障害を合併したり、対人関係や社会生活における障害が持ち越されてしまう場合も少なくない。いまやこれらの疾患を正確に診断し、適切な治療と予防を行うことが急務となっている。
言うまでもなく、子どもの対人関係や社会生活に対する不適応の問題を、何でも精神疾患と関連づけることには慎重でなければならない。しかし、不適応を起こして落ち込んだり、引きこもったり、自殺を試みたりする子どもを、いま一度、うつ病や不安障害という視点から検討する必要もあるのではないかと思うのである。
本書では、小児のうつと不安、特にうつ病と不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害:PTSD)の診断、臨床的特徴、およびその最新治療について述べてみたいと思う。
なお、本書で紹介した症例については、プライバシー保護のため、自験例の中から抽出された問題点を中心に再構成したものであり、現実の症例とは異なるものであることをお断りしておきたい。

目次

第1章 小児のうつ病
 1.小児うつ病は見逃されてきた
 2.小児・思春期のうつ病の基本的事項─疫学、成因、経過・予後─
 3.小児のうつ病の診断と臨床症状
 4.症例呈示
 5.わが国の小・中学生に抑うつ傾向はどのくらい存在するのか
 6.小児のうつ病の治療
 7.小児のうつ病と現代社会

第2章 小児の不安障害
 1.小児の不安障害とはどんな病気なのか
 2.分離不安障害
 3.パニック障害
 4.社会不安障害
 5.強迫性障害
 6.外傷後ストレス障害(PTSD)