近年さまざまな基礎的研究成果が報告されている骨壊死について，その基礎から臨床まで，小児から高齢者まで，上肢から下肢，また脊椎まで，領域・年齢・部位を限らず広く最新の論文を収載．解明が進んでいる疫学や自然経過，早期診断のための新しい診断法，基礎的研究に基づく新しい治療法の開発や従来の治療成績評価などを紹介する．

【内容目次】
I．基礎的アプローチ
１．原因に関する基礎研究
ラット大腿骨頭壊死症モデルにおける骨再生
北原洋ほか
特発性大腿骨頭壊死症におけるhypoxia-inducible factor (HIF)-1αの関与─血管内皮細胞におけるHIF-1α遺伝子導入および糖質コルチコイド投与によるアポトーシスの誘導
飯田武ほか
易卒中高血圧自然発症ラットを利用した大腿骨頭壊死症研究─一酸化窒素合成酵素阻害薬含有高コレステロール飼料とステロイドホルモン負荷
熊谷謙治ほか
血管内皮細胞に対するステロイドの影響と大腿骨頭壊死
赤池雅史ほか
大腿骨頭壊死における動物モデル―ステロイド誘発家兎骨壊死モデル
山本卓明ほか
骨髄損傷後骨再生モデルにおけるステロイドの影響
近藤直樹ほか
２．ステロイド感受性と遺伝子解析
骨代謝のゲノム解析―ステロイドホルモン感受性の遺伝
中島滋郎ほか
ステロイド性大腿骨頭壊死症発生予防のための遺伝子診断
浅野武志ほか
特発性大腿骨頭壊死症におけるグルココルチコイド受容体の遺伝子多型性解析
堀内博志ほか
３．治療に関する研究
特発性骨壊死症に対する自家骨髄細胞移植の効果―ステロイド性骨壊死家兎を用いて
松矢浩暉ほか
ラット大腿骨頭壊死症モデルにおける遺伝子治療の試み
伊藤知之ほか
抗凝固薬および抗高脂血症薬併用によるステロイド性骨壊死予防効果―動物モデルでの検討
本村悟朗ほか

II．臨床的研究―病因・診断・治療
１．上肢
１）上腕骨頭
潜水病性上腕骨頭壊死による肩関節障害の関節鏡所見
佐々木誠人ほか
２）手根骨
手根骨壊死（とくに月状骨軟化症）に対する新しい手術的治療―橈骨遠位端からの有茎血管柄付き骨移植
村松慶一ほか
Kienbock病に対する一時的舟状小菱形骨関節固定を併用した月状三角骨関節固定術
香月憲一
Kienbock病に対する月状骨摘出+舟状三角骨間靱帯形成術の試み
秋田鐘弼ほか
Kienbock病進行例に対する橈骨骨切り術の術後成績
岩崎倫政ほか
進行期Kienbock病に対する腱球移植，仮・舟状大菱形小菱形骨（舟上有頭骨）間固定術の成績
藤谷良太郎ほか
Kienbock病の主症状は橈骨短縮術により術直後から軽減する
石垣大介ほか
２．下肢
１）大腿骨頭
１．Perthes病
壊死部の修復様式とMRI所見から見たPerthes病の病態と経過
北野利夫ほか
Perthes病に対する近赤外線照射の臨床的意義
朝貝芳美ほか
両側Perthes病の検討
中村雅洋ほか
西尾式外転免荷装具の治療成績
桶谷寛ほか
２．大腿骨頭壊死症
大腿骨頭壊死症の自然経過と臨床経過
山中誠ほか
大腿骨頭壊死症の長期的修復過程
高尾正樹ほか
特発性大腿骨頭壊死症における多発性骨壊死
坂井孝司ほか
特発性大腿骨頭壊死症に対する遊離血管柄付き腓骨移植術の中長期成績
川手健次ほか
大腿骨頭壊死症に対する血管柄付き腸骨移植術
中村吉秀ほか
大腿骨頭壊死症に対する骨切り術（大腿骨頭回転骨切り術および大腿骨内反骨切り術）とその長期成績
神宮司誠也ほか
特発性大腿骨頭壊死症に対する人工関節置換術の成績─人工骨頭置換術との比較
小林千益ほか
大腿骨頭壊死症に対するバイポーラ型人工骨頭置換術の長期成績
高尾正樹ほか
大腿骨頭壊死症に対するバイポーラ型人工骨頭置換術後5年以上の寛骨臼側変化
東努ほか
大腿骨頭壊死症に対する大腿骨頭表面置換術の短期成績
名越智ほか
減圧性大腿骨頭壊死の治療
田村裕昭ほか
２）膝関節
内側半月横断裂と膝骨壊死
井原秀俊ほか
ステロイド性大腿骨顆部骨壊死に対する骨軟骨接合術
高橋正哲ほか
大腿骨内顆部骨壊死に対する自家骨軟骨移植術
小谷明弘ほか
大腿骨内顆部骨壊死に対する骨軟骨移植術の治療成績─アライメントを考慮して
中川泰彰ほか
血管柄付き大腿骨内顆部骨移植を用いた無腐性骨壊死の治療
柿木良介ほか
３）足関節
特発性大腿骨頭壊死患者における足関節の骨壊死の疫学的調査
三木秀宣
３．その他の部位
骨粗鬆性脊椎骨折後椎体無腐性骨壊死の診断と治療
中増正寿ほか