特 色
1）臨床ベースのハンドブックである本書は，特に，原発不明癌，骨折での来診時，切迫骨折時，麻痺時，などでの対処方法を具体的に記述した。
2）総論として，転移性骨腫瘍の実態から診断基準，治療方針の立て方，除痛の方法，放射線治療，手術，ビスフォスフォネートまでをわかりやすく解説した。
3）各論として，乳癌，肺癌，肝癌，腎癌，甲状腺癌，前立腺癌，などの原発癌の治療方針と骨転移の特徴（画像，骨転移の進行の特徴，経過フォローの仕方，手術時の留意点）について記載した。

略語，重要用語の解説
■骨転移治療の概要
●転移性骨腫瘍診療の現状
1. がんの疫学と転移性骨腫瘍の頻度 2. 転移性骨腫瘍手術患者動向と整形外科診療の現状 3. 転移性骨腫瘍の問題点と対策：current reality tree
●基本的診察項目，診断基準
1. 日常外来で転移性骨腫瘍と診断されるまで 2. 診察手順 3. 診断，評価基準
●治療方針の立て方
1. 原則 2. 集学的治療の重要性 3. 整形外科における転移性骨腫瘍の層別化と診察手順
●骨転移患者における告知，説明と同意（インフォームド・コンセント；IC）
1. がんの告知 2. インフォームド・コンセントの実際の方法 3. がん告知に伴う患者の心的反応について 4. ポイント
●有痛性骨転移の除痛方法
1. 疼痛マネージメントの原則 2. 痛みの評価と治療目標の設定 3. 鎮痛薬投与法の基本原則 4. 非オピオイド 5. 弱オピオイド 6. 強オピオイド 7. モルヒネによる疼痛コントロールの実際 8. 鎮痛補助薬 9. 疼痛コントロールの具体例
●骨転移に対する放射線治療
1. 骨転移に対する放射線治療の目的 2. 骨転移に対する放射線治療の特徴 3. 骨転移の放射線生物学 4. 骨転移に対する放射線治療の適応とその時期 5. 骨転移に対する放射線治療の方法 6. 併用療法 7. 標準的な治療成績 8. 合併症（急性・晩期）
●手術療法（適応と術式）
1. 現時点で妥当と思われる手術治療指針 2. 脊椎癌転移に対する手術－適応・手術法・成績 3. 骨盤骨転移の手術 4. 大腿骨骨転移の手術 5. その他の部位
●その他の保存療法：内科的治療，抗転移療法，装具療法
1. ビスフォスフォネートと抗骨転移療法 2. 悪性腫瘍の高カルシウム血症に対する治療 3. 播種性骨髄癌症 4. 装具療法
●骨転移の分子機構の重要性と標的治療
1. 骨（髄）転移の分子機構 2. 溶骨性転移と造骨性転移 3. 溶骨性転移に伴う悪循環（vicious cycle）4. 分子標的療法への期待
■原発巣別治療指針
●肺癌（Lung cancer）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree
●乳癌（Breast cancer）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree
●腎癌（腎細胞癌 Renal cell carcinoma）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree
●肝細胞癌（Hepatocellular carcinoma）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree
●甲状腺癌（Thyroid cancer）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree
●前立腺癌（Prostate cancer）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree
●造血器悪性腫瘍（血液癌 Hematopoietic malignancy）
I. 悪性リンパ腫（Malignant lymphoma）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨病変の臨床的特徴 3. 骨病巣に対するDecision tree
II. 多発性骨髄腫（Multiple myeloma）1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨病変の臨床的特徴 3. 骨病巣に対するDecision tree
●上部消化管の癌
I. 食道癌（Esophageal cancer）1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree
II. 胃癌（Gastric cancer）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree
●大腸癌（Colorectal cancer）
1. 原発巣の臨床的特徴 2. 骨転移の臨床的特徴 3. 骨転移に対するDecision tree