大学・専門学校等での授業用教材作成時の著作物複製利用の注意点
2024年2月7日
一般社団法人 日本医書出版協会
著作権法第 35 条第 1 項は、学校その他の教育機関の授業の過程における利用を目的として、授業を行う教員等および受講者がその必要と認められる限度において、著作物を無許諾で複製(複写・複製機器による紙その他の媒体への有形的な再製)し、 あるいは公衆送信等 (インターネットその他の通信回線による送信及び通信機器への蓄積等)できることを規定しています。
上記の範囲内であれば、プリント(紙媒体)等の配布物での著作物の複製などを無償で行えますが、ラーニング・マネージメント・システム(LMS)等で利用するために著作物を電子的に複製し、システムに保管する場合など、状況によって公衆送信(送信可能化を含む)となる場合には、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)へ所定の補償金を支払う必要があります(著作権法第35条第2項) 。
また著作権法第35条第1項ただし書は、利用する著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし、著作権者や※1 出版権者(出版社等)の利益を不当に害することとなる場合は、無許諾では利用できないことを規定しています。
このただし書に該当する場合には、たとえ必要と認められる限度であったとしても、無許諾・無償での複製、あるいは補償金の支払い如何にかかわらず公衆送信 (送信可能化を含む) もすることはできず、権利者の許諾が必要となります。
※1 著作権法第86条では、第35条1項の「著作権者」とあるのは「出版権者」と読み替えるものとする、と規定されています。
【著作権法第35条】
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 前項の規定により公衆送信を行う場合には、同項の教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
3 前項の規定は、公表された著作物について、第一項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合において、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信を行うときには、適用しない。
教材作成のための著作物の複製利用には、ライセンス契約が必要な場合があります!
著作権法第35条第1項ただし書に規定される著作権者や出版権者(出版社等)の利益を不当に害することとなる場合とはどのような場合でしょうか?
「不当に害する」か否かは、著作物の種類や、利用方法及び利用量を踏まえて判断されますがが、例えば、以下のようなケースはただし書に該当する可能性が高いと考えられます。
・出版物から多量の著作物(シェーマ、画像や文章等)を抜き出し教材を作成した場合
・図表 1 点の利用であってもその出版物の内容に照らして重要性が高い図表を利用した場合
・履修期間の終了後も電子的に複製された著作物をシステム等に保管し閲覧可能とする場合
以上は、あくまで代表的な例となります。いずれにしましてもその著作物の性質や利用の仕方により判断は変わってきます。ただし書に該当するかどうかの判断がつかない場合、著作権者や出版権者(出版社等)に確認する事も必要となります。
各教育機関の授業の利用において、 著作権法第35条第1項ただし書に定める“著作権者や出版権者(出版社等)の利益を不当に害することとなる”と思われる場合、または権利者から指摘を受けた場合には、権利者から許諾を得るか、JCOPY(出版者著作権管理機構)等のライセンス契約の締結をお願いします(※日本医書出版協会会員社の発行する出版物のほとんどがJCOPYに登録・管理されております) 。