日本医書出版協会転載許諾ガイドライン

2017年7月1日
JMPA理事会承認

日本医書出版協会転載許諾ガイドライン(以下「本ガイドライン」という)は、一般社団法人日本医書出版協会の会員である出版社(以下「会員社」という)を対象とし、転載
許諾の実務上の基本原則を示すことで、会員社間における転載許諾の適正化と許諾手続の簡素化を図り、その適切性と効率性を高めることを目的として作成されたものである。なお、本ガイドラインは STM(International Association of Scientific, Technical and Medical Publishers)のPermissions Guidelines を参考にしつつ、我が国における医書出版業界の実情を勘案して作成された。

前 文

 医学系学術分野は、過去の知見や研究成果を基に新しい発見や成果を生み出すことで、発展と進歩を続けている。その学術的成果や知見は、出版という手段を通し研究者や専門職に広められることで新たな発見を生み出している。医学関連領域の発展のサイクルを支える医学系学術出版において、既存の出版物からの図表等の転載は、必要不可欠なものである。その一方で、行き過ぎた転載・不適切な転載は、著作物のオリジナリティを低下させ、著作者または著作権者ならびに出版権者の権利を侵害することにもなり、 十分に留意しなければならない。
 日本医書出版協会では、転載許諾の基本原則を定めることが、医学系学術専門領域の今後の健全な執筆・出版活動には不可欠であると考え、本ガイドラインを作成する。
 本ガイドラインは、会員社相互の転載申請許諾実務において、会員社各社の判断を制限するものではないが、その主旨は尊重されるべきである。また対象となる転載は、医学系専門書籍・雑誌への掲載であり、その出版物(冊子体・電子版を指すが、それに限らない)は医学系専門職(医師、看護師他)による研究成果の発表および情報提供、同専門職の養成等を目的としたものや医学関連領域の研究促進、医療技術の発展に資するもの、つまり学術目的であることが前提となる。なお、特定の商業的目的を持ったもの(薬品や商品の販促資材等)は、その対象とはしない。

1. 転載許諾申請の対象となる出版物
転載許諾申請の対象となる出版物は以下の出版物とする。
1)転載許諾の申請を受けた出版社(以下「許諾出版社」という)が、すべての著作権(著作権法第 27 条(翻訳権、翻案権等)および第 28 条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)に定める権利を含む)を保有している出版物
2)許諾出版社が、出版権設定契約等に基づき、転載に係る権利(著作権法第 27 条(翻訳権、翻案権等)に定める権利を含む)の許諾を委託されている出版物であって、申請された転載元の著作物(以下「転載元著作物」という)について、本ガイドラインの範囲内で独自に転載を許諾することができる出版物

2. 転載許諾申請の範囲
許諾申請を行う出版社(以下「利用者」という)は、著作物の転載を必要最小限の範囲内にとどめることを原則とする。ここにいう必要最小限とは、第3項1)に定める無償転載許諾の範囲内で、かつ他の著作物あるいはオリジナルの創作では代替できないなど、転載元著作物を転載する必要性が高いことを、転載元著作物の著作権者が容易に理解できる範囲のことをいう。

3. 無償転載許諾の範囲
1)許諾出版社は、以下の範囲の転載を、原則として無償で許諾することとする。なお、転載は改変がないことを原則とするが、翻案に至らない軽微な改変までは許容される。
① 雑誌1文献から最大限3つの図表
② 書籍1章から最大限3つの図表であって、かつ書籍1冊から最大限5つの図表
③ 雑誌1文献あるいは書籍1冊から 200 文字以内の連続した文章あるいは合計400文字以内の連続しない文章
2)前号にかかわらず、転載元著作物が当該出版物の重要な特徴(解剖図譜、漫画、地図、絵画、創造写真等)であり、その転載が当該出版物の販売に影響を及ぼすと考えられる場合には、転載の許否、許諾が有償か無償かの判断は、各許諾出版社独自の基準に委ねられるものとする。

4. 電子版への再転載および翻訳を伴う再転載に対する一括許諾
許諾出版社は、利用者に転載を許諾する場合には、 転載元著作物が掲載される出版物(以下「転載先出版物」という)の以下の利用についても同様に許諾することを原則とする。
1) 利用者が転載許諾を申請するにあたり、転載先出版物の電子版(原則として、出版物全体を配信のために電子化したものをいう)へそのまま再転載することについて一括して申請があった場合には、許諾出版社は、当該再転載についても一括して許諾する。
2) 利用者が転載許諾を申請するにあたり、その転載先出版物を翻訳出版する場合、あるいは第三者をして翻訳出版させる場合(ここに、翻訳出版とは、当該出版物全体を翻訳して出版することをいう)に、その転載元著作物を当該翻訳先出版物へ翻訳して再転載すること(当該翻訳先出版物をさらに電子化して当該転載元著作物を再々転載することを含む)につき一括して申請があった場合には、許諾出版社は、当該再転載(およびその電子版への再々転載)についても一括して許諾する。

5. 著作者/著作権者自身の承諾
転載元著作物が、第1項に定める転載許諾申請の対象出版物に掲載された著作物であっても、当該転載元著作物の著作者または著作権者(著作者から著作権の譲渡を受け、あるいは承継した者を含む。以下同じ)が、利用者から転載許諾の申請がある都度、改めて承諾を得るよう許諾出版社に求めている場合には、許諾出版社は、当該著作者もしくは著作権者から承諾を得、または利用者をして当該承諾を得させなければならない。

6. 出典の明示
利用者は、転載先出版物のうち転載元著作物を掲載した箇所に、必ずその出典を明記しなければならない。以下に出典記載例を挙げる。
[雑誌] 著者名、題名、雑誌名、巻、号、頁
[書籍] 著者名、題名、書名(編著名)、巻、版数、頁、発行年、発行所
[Website] 著作物タイトル(Web ページのタイトル)、URL、参照日(閲覧日)

7. 転載先出版物の提供要求の自粛
許諾出版社は、特に必要と認められる場合を除き、原則として利用者に対して転載先出版物の提供を求めないものとする。

8. 許諾申請の免除
1)会員社の意向による免除:会員社は、第3項に定める無償転載許諾の範囲内の転載について、利用者からの転載許諾の申請を免除することができる。許諾申請を免除する会員社は、免除する旨を JMPAの会員社向けサイトに本ガイドラインとともに公開する。
2)著作者/著作権者自らの利用:転載元著作物の著作者または著作権者が、当該転載元著作物につき第3項に定める無償転載許諾の範囲内の転載をする場合は、その転載許諾の申請を免除する。ただし、第3項2)に該当する場合は、この限りではない。

9. その他
会員社の出版物に著作物の転載を予定している著作者が、会員社を通さず、自ら転載許諾の申請をする場合も、本ガイドラインを適用する。