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書名

透析スタッフのための体液バランスの知識

筆頭著者

北岡建樹・著

出版社名

中外医学社

ISBNコード

ISBN978-4-498-12402-8

発行年

2000年6月

判型 / 頁数

B5判 / 102頁

分類

臨床医学系/腎臓・透析

価格

定価(本体3,000円+税)

内容

腎不全・透析療法の医療に携わるためには,腎臓の基本的な働きである,水電解質,酸塩基平衡に関する知識が不可欠であるが,本書はその調節作用と病態を透析との関わりに触れながら図表を示しわかりやすく解説したものである.体液バランスのしくみ,電解質異常,酸塩基平衡異常を理解することが,患者指導や管理にどう結びつくかを平易に述べた本書により読者は説得力をもった透析医療を行うことができよう.


透析療法は現在ではごく日常的な末期腎不全の治療手段として確立しています.最新の統計(日本透析医学会1998年末統計資料)によれば慢性透析患者数は約18万5千人に及び,まだ増加傾向が続いています.透析療法というのは廃絶した腎臓に代わって,代謝老廃物の除去,体液・電解質異常の調節,酸塩基平衡異常の是正などを目的に,定期的に生涯にわたって永続的に行われる治療法です.その治療の原理は拡散,浸透,ろ過などの物理化学的な力により,実際の腎臓のように複雑,精妙にはできませんが,尿毒症の病状は改善され,ある程度の社会的な復帰目的が達成されています.
このような原理によって効率よく代謝老廃物を除去し,体液の異常を是正するためには透析膜の性能がきわめて重要であり,しかも物質の移動を規定する透析液の組成が大きく影響しています.本来腎臓が行っている体液・電解質,酸塩基平衡の調節作用は,体液の恒常性を保つ働き,すなわち体内の環境を良好に維持する働きです.この結果,細胞の代謝が円滑に行われ,生命が保持されているのです.
私たちの社会においても,上下水道の整備,ごみの清掃などの生活環境がないがしろにされれば,健康が損なわれることになります.このように腎臓の作用は,いわば体内における環境庁や水道局・清掃局に相当することになるといえます.
腎不全・透析療法の勉強をしていく上では,腎臓の基本的な働きである体液に関する知識,その調節作用と異常な病態を理解することが必要不可欠になります.とかく,この領域の学習は敬遠されがちで,理解が困難となったり,往々にして不完全な知識であることが見うけられます.ここでは最新の分子生物学のような高度の,難解な腎生理学の部分は避け,透析スタッフに必要な基本的に重要な知識を概論することにします.

このような体液生理学の知識をもっていると,いままでとは違った視野から透析治療に取り組むことができると思います.定期的に透析患者さんの血液の検査が行われますが,ただ機械的に高カリウム血症とか高リン血症とかを指摘して,カリウムやリンの摂取を制限しなさいと指導するだけではなく,電解質異常ではどのような病態が出現しうるのか,どのような影響を身体にもたらすかなどを知っていることは患者さんの指導・教育に大変役立ちます.体内における電解質の役割について理解しておくことは,日常臨床の場で大切なことなのです.

2000年5月
北岡建樹

目次

目 次

1.体液とは  1
  1.体液・電解質の重要性  1
  2.体液の構成  2

2.腎不全とは  6
  1.腎臓の働き  6
  2.腎不全の病態  7
  3.透析療法の目的  8

3.体液・電解質の基礎  11
  1.体内の水分量の意味するもの  11
  2.体内の水分区画とは  12
  3.電解質とは  12
  4.アニオンギャップ  14

4.水分代謝  16
  1.水分のバランスとは  16
    a.正常人の水分バランス  16
    b.透析期腎不全の水分バランス  16
  2.正常人の水分調節機構  17
  3.渇感とは  19
  4.透析期腎不全の水分調節  21
  5.ドライウエイトとは  22

5.ナトリウム代謝  24
  1.ナトリウムとは  24
  2.ナトリウムの作用  24
  3.ナトリウムのバランス  25
  4.ナトリウムの調節系  27
  5.容量調節系とは  28
  6.浸透圧とは  29
  7.オスモラールギャップ  31
  8.血漿浸透圧の異常  33

6.脱水症  34
  1.脱水症の分類  34
  2.脱水症の診断  35

7.浮腫  38
  1.浮腫の診断  38
  2.局所性浮腫の成因  38
  3.全身性浮腫の成因  40
  4.腎不全の浮腫の原因  42
    a.腎不全の浮腫の成因  42
    b.透析期腎不全の体液量の過剰  42
  5.浮腫治療の原則  43

8.ナトリウム濃度の異常  45
  1.ナトリウム濃度異常の意味するもの  45
  2.低ナトリウム血症の原因  46
  3.高ナトリウム血症の分類  46
  4.透析療法と血清ナトリウム濃度異常  47

9.カリウム  49
  1.カリウムの特徴  49
  2.カリウムの働き  49
  3.カリウムのバランス  50
  4.カリウムの腎臓における調節  51
  5.血清カリウム濃度の異常  51
    a.高カリウム血症の原因  52
    b.高カリウム血症による症候と検査異常  54
    c.低カリウム血症の原因  54
    d.低カリウム血症の症候と検査異常  55
  6.腎不全におけるカリウム代謝異常と治療指針  56

10.カルシウムとリン  59
  1.カルシウムの特徴  59
    a.カルシウムとは  59
    b.カルシウムの作用  59
    c.カルシウムのバランス  61
    d.カルシウムの調節機構  62
    e.低カルシウム血症時の反応  62
    f.高カルシウム血症時の反応  62
  2.リンの特徴  63
    a.リンの作用  63
    b.リンのバランス  64
    c.リンの代謝  65
  3.カルシウム・リンの調節機構  66
  4.血清カルシウム濃度の異常  67
    a.血清カルシウム濃度異常の解釈  67
    b.高カルシウム血症の原因  67
    c.高カルシウム血症の症候  68
    d.低カルシウム血症の原因  69
    e.低カルシウム血症の症候  70
  5.血清リン濃度の異常  71
    a.高リン血症の原因  71
    b.高リン血症の症状  72
    c.低リン血症の原因  72
    d.低リン血症の症状  73
  6.腎不全におけるカルシウム・リン代謝  73
    a.カルシウム・リン代謝異常の意味  73
    b.腎不全におけるカルシウム・リン代謝異常の治療  75
    c.カルシウムパラドックスとは  77

11.マグネシウム  78
  1.マグネシウムの特徴  78
  2.マグネシウムの調節系  79
  3.血清マグネシウム濃度の異常  80
    a.低マグネシウム血症の原因  80
    b.高マグネシウム血症の原因  81
  4.マグネシウム異常の症候  82
    a.低マグネシウム血症の症候  82
    b.高マグネシウム血症の症候  82
  5.腎不全におけるマグネシウム代謝の異常  83

12.酸塩基平衡  84
  1.酸塩基平衡の意味するもの  84
  2.酸とは塩基とは  84
  3.酸塩基平衡の調節  85
  4.血液pHの求め方  88
  5.酸塩基平衡の異常の意味  89
    a.代謝性アシドーシスとは  90
    b.代謝性アルカローシスとは  91
    c.呼吸性アシドーシスとは  92
    d.呼吸性アルカローシスとは  93
  6.腎不全における酸塩基平衡の異常  93
  7.保存期腎不全の酸塩基平衡異常の治療  95
  8.透析期腎不全の酸塩基平衡異常の治療  96

附1.透析液の組成  97
附2.ナトリウム・カリウム・リンの食品中の含有量  98

索引  101