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書名

腹部単純X線写真のよみ方

筆頭著者

大場 覚・著(名古屋市立大学教授)

出版社名

中外医学社

ISBNコード

ISBN978-4-498-04047-2

発行年

1990年3月

判型 / 頁数

B5判 / 226頁

分類

臨床医学系/消化器内科

価格

定価(本体5,400円+税)

内容

CTや超音波などの画像診断が発達した今日でも, いつでもどこでも利用できる単純X線写真の価値は高く,多くの情報を提供してくれる.
本書はX線コントラストをどう解釈するかという基本的読影法の解説に力を注いだものである.鮮明なX線写真とわかりやすいシェーマで,X線写真を隅から隅まで読影し,より多くの情報を探り出す能力を養成する書としておすすめする.


CTや磁気共鳴画像(MRI)などコンピューターを利用した画像診断法の隆盛には目を見張るものがあり,単純撮影は以前ほどの利用価値をもたなくなった.しかしCTやMRIなどの効果な装置は何処でも,何時でも利用できるものではない.単純撮影は逆に何処でも,何時でも利用できる簡便さがあり,現在でも救急の場にあって欠かすことができない検査である.ところがCTのようなコントラストのよい断層像を提供してくれない.特に救急の場で撮影される腹部単純X線写真は患者の状態や撮影技術によって,きれいな写真が得られなかったり,また写真の何処に,どのようなX線徴候が描出されてくるかは定かではない.
SOSMANが“In all roentgenology, we see only we look for, and we look for only what we know.”といったように,われわれは知っているものしかみえないし,探さない.したがって,たとえ描出されていても知らないものは目に入らないので,異常があっても何ともないと判断することもありうる.たとえ一枚のX線写真といえども,その読影如何によって患者の一命を救うこともできるし,逆に取り返しがつかない事態を招くこともありうる.
わが国で出版されている腹部単純X線撮影の本を読んで気づくことは,各疾患のX線所見ということに重点が置かれていて,X線コントラストによる基本的読影法の解説が簡単に記述されすぎているため,理解しにくい面がある.X線像はX線コントラストから成り立っている以上,X線コントラストがどのような状態で生じ,あるいは失われるかという知識を抜きにしては,読影の向上は困難である.
また,人間は構造をしていながら,人相や体格が一人一人異なるように,同じ疾患でありながら,同じX線像を呈することがない.したがって,X線アトラスで写真合わせをするように診断しようとしても,うまく診断できるものではない.X線徴候も一つの疾患のみ現れるものではなく,多くの疾患に同じX線徴候が出現するので,アトラス的診断法は誤診しやすい.
X線像の読影に上達するためには,既存構造の正常X線解剖をよく理解しておくことと,病態がどのような潜在空間を辿って進展し,その結果X線コントラストがどのように変化するかを,X線コントラストの観点に立って,系統的に,理論的に理解しておくことが重要である.理論的読影法は応用が効き,他人を納得させる力がある.
したがって,この本では個々の疾患のX線所見を述べるものではなく,濃度別陰影,あるいは部位別にX線解剖とX線徴候の成り立ちを解説し,その臨床的意義を記述するように努めた.また腹部病変の局在診断には,どのようなX線解剖が指標になるかを示した.その他,腹部単純X線写真上に描出されているものは,隅から隅まで読影し,より多くの情報を集めるために,通常,簡単に記述され勝ちな骨盤部や横隔膜部,さらに下肺野について詳しく記述した.
この本を通読することによって,今まで気づかなかった種々の像がみえてきたり,何が描出されていたのか疑問に思っていたものが何であったかわかってくれると,1枚のX線写真の読影も楽しくなってくる.この楽しみを分かち合うことができれば幸甚である.
また,より浸襲が少ない簡単な検査で,より多くの情報が得られれば,これもまた大いなる医療への貢献である.
この本は1987年4月から,21回にわたって雑誌「臨床医」の連載したものに,写真版を充実させ,一部加筆したものをまとめたものである.学生,研修医,一般臨床医,放射線医に理解できるように書いたつもりである.

1990年3月
著者

目次

目次

1 適応と撮影体位 1
1.何がチェックできるか 1
2.撮影の体位 2
3.急性腹症における胸部撮影 6
4.フィルムに含める部位 7
5.前処置の問題 9
6.読影上の注意事項 9
2 腹部のX線コントラスト 11
1.X線コントラスト 11
2.X線コントラストは何によって生ずるか 11
3.腹膜外脂肪と腹部臓器の輪郭影について 13
4.後腹膜腫瘤の輪郭影について 17
3 腹腔の解剖と腹腔内液体貯留 19
1.間膜の解剖 19
2.腹腔の区画 20
3.腹腔内液体貯留の腹部単純X線徴候 21
4 後腹膜腔の解剖と後腹膜腔液体貯留 31
1.後腹膜腔の解剖 31
2.後腹膜腔の液体貯留の単純X線徴候 35

5 気腹のX線徴候 42
1.横隔膜下ガスしか知らない人のために 42
2.気腹の原因 43
3.気腹のX線徴候 44
4.コメント 51
6 腹膜外ガスのX線像とその起源 53
1.腹膜外ガスの特徴 54
2.後腹膜腔の3腔のガス像 55
3.コメント 61
7 消化管内ガスの異常 62
7-1  胃,十二指腸,小腸ガスの異常 62
1.胃のガス像 62
2.十二指腸のガス像 66
3.小腸のガス 68
7-2 小腸イレウスのX線像 73
1.イレウスの分類と原因 73
2.液体とガスによる腸管の拡張像 74
3.気体液面像 air-fluid level, niveau 80
4.遠位腸管内の内容物の有無 82
5.小腸イレウスの鑑別診断 82
7-3 結腸閉塞と結腸イレウス 83
1.結腸閉塞および結腸イレウスのX線診断に肝する基本的事項 83
2.結腸閉塞のX線像 86
3.結腸イレウス 90
8 腹部の異所性ガス 93
1.腸管壁内ガス:腸管気腫pneumatosis intestinalis 94
2.肝内門脈内ガス 96
3.肝内胆管内ガス 96
4.気腫性胆嚢炎 98
5.腹腔内膿瘍 99
6.臓器内ガス 100
7.コメント 101
9 腹部腫瘤のX線診断 103
1.腹部腫瘤に対する腹部単純X線撮影の役割 103
2.腫瘤影とは 103
3.腫瘤は腹腔内起源か後腹膜腔起源か 104
4.腹部腫瘤のベクトル診断 106
5.結腸ガスのX線解剖 107
6.右結腸間膜上部腫瘤の局在鑑別診断 107
7.左結腸間膜上部腫瘤 112
8.結腸間膜下腫瘤 115
9.骨盤部腫瘤 116
10.後腹膜腫瘤 117
11.コメント 120
10 脂肪濃度を示す異常 121
1.脂肪の増殖による正常変異 121
2.脂肪腫症lipomatosis 125
3.単純X線撮影で描出されうる腹部脂肪性腫瘤 127
4.脂肪肝 129
11 腹部の金属濃度の異常 130
11-1 石灰化陰影のパターン 130
1.結石の石灰化像 130
2.導管壁の石灰化像 132
3.嚢胞状腫瘤壁の石灰化像 132
4.充実性腫瘍内の石灰化像 135
5.リンパ節の石灰化像 137
6.脂肪塊の石灰化像 137
7.肉芽腫の石灰化像 138
8.骨化像 138
9.腹部石灰化と類似する陰影 139
11-2 部位別の主な石灰化陰影 140
1.上腹部石灰化陰影 140
2.下腹部石灰化陰影 145
12 骨盤部のX線診断 150
12-1 骨盤部腹膜外脂肪と軟部陰影 150
1.骨盤部正常X線解剖 150
2.骨盤部腹膜外脂肪層 152
3.骨盤部腫瘤 156
12-2 骨盤部のガス濃度と金属濃度の異常 157
1.骨盤部のガス陰影の異常 157
2.骨盤部石灰化陰影の異常 159
3.異物の陰影 165
4.骨盤腔外の金属濃度 165
13 横隔膜部と縦隔下部の異常 167
1.横隔膜裂孔 167
2.横隔膜脚後腔 167
3.脊髄傍線 170
4.後縦隔気腫 172
5.横隔膜に沿ったガス像 173
6.横隔膜下腹膜外脂肪 174
14 腹部症例と胸部異常陰影 177
1.後内側肋骨横隔洞の胸水 177
2.腹部疾患による胸水 179
3.板状無気肺 180
4.肺底区の変化 182
5.腹部疾患における胸部撮影 182
6.胸部X線写真上に出現する消化管疾患 185
7.急性腹症の際にはルーチンに胸部撮影を行うこと 187
15 骨の異常 188
1.骨折 188
2.骨転移 188
3.椎体の破壊像 191
4.関節,靱帯の異常 192
5.筋肉,軟部組織の骨化 195
16 症例検討 197
索引 206