「二重投稿」および「引用と転載」に関するQ&A

<二重投稿について>

Q1 海外の雑誌に投稿し掲載された自分の論文を,国内の雑誌に投稿したいのですが,二重投稿となるのでしょうか?

A1 原著論文では,言語や公表手段にかかわらず,"実質的に同一内容"であれば二重投稿とみなされるようです.『生物医学雑誌への統一投稿規程』(2013年12月改訂版.英語版のみ)では,「過去に掲載されたものとの関連性を明示せずに,すでに掲載された論文と本質的にオーバーラップするものを掲載すること」を「多重出版」と定義し,原則禁じるとともに,条件付きで例外的に認められるケースについても解説しています.
□参考文献
 http://www.icmje.org/icmje-recommendations.pdf

Q2 国内の雑誌に投稿し掲載された自分の論文を,手直しして国内の別の雑誌に投稿したいのですが,二重投稿となるのでしょうか?

A2 手直しの内容に照らして,二重投稿か否かを雑誌の編集委員会で判断します.かなり手直ししたので二重投稿ではないとご自身で判断せず,必ず投稿先の編集委員会に問い合わせてください.なお,編集委員会で検討するために,すでに投稿した論文の別刷等の提出を求められる場合があります.

Q3 論文の内容が同じであっても、言語が異なれば二重投稿とみなされない場合があるのでしょうか?

A3 例えば,Surgical Journal Editors Meetingに参加した外科系医学雑誌編集者間での合意として「英語以外の言語ですでに発表した論文を英文に直して一定の条件を満たす英文誌に投稿しても二重投稿とはみなさない」など,いくつかのケースで二重投稿の例外を設けているようです.また,『生物医学雑誌への統一投稿規程』では,ガイドラインに類するタイプの記事について,他国での二次出版の規程があります.いずれにせよ例外的な扱いなので,必ず投稿先の編集委員会に確認してください.
□参考文献
 http://www.ringe.jp/topics/20130222.html

Q4 国内の雑誌に掲載された自分の論文を,英訳して海外誌に投稿することは可能ですか?

A4 まず投稿規定や執筆依頼状で論文の著作権の所在を確認してください.英訳は翻訳(翻案)になりますので,翻訳権を保有している著作権者の利用許諾を得る必要があります.許諾が得られた場合は,別言語ですでに発表した内容でも投稿することが可能かどうかを,先方の海外誌の投稿規定等で確認してください.不確かな場合は,必ず前もって先方の編集委員会に問い合わせてください.

Q5 国内の雑誌に掲載された自分の論文を,大学のホームページに掲載したいと考えています.自由に使用してもよいでしょうか?

A5 自分の論文であっても前問同様,論文の著作権の所在を確認してください.ホームページに掲載する場合,著作権者から複製権および公衆送信権の利用許諾を得る必要があります.著作権は学会や出版社など発行者に譲渡されている場合もありますので,必ず発行者に問い合わせてください.なお,ホームページへの掲載は著作権上は出版と同様に扱われますので,一度ホームページに掲載した内容を他の雑誌に投稿すると二重投稿とされることがあります.

<引用と転載について>

Q6 転載許諾の申請は著者と出版社のどちらの責任で行うべきなのでしょうか? また,使用料等の費用が発生した場合,どちらが負担すべきでしょうか? とくに費用が高額になった場合はどうしたらよいでしょうか?

A6 一般的には,原稿を準備するのは著者の責任となっており,通常,転載許諾の手続きをすることは著者の原稿準備作業に含まれるものと言われています.したがって,原稿が完成するまでの費用は著者の負担ということになります.費用の取り扱いについては出版社により異なりますので,有料ということが判明した時点で出版社に相談することをお勧めします.

Q7 転載許諾をお願いする場合,「著者と出版社に同時に許諾の申請をした方がよい」と聞いたのですが,正しいでしょうか?

A7 以前は,このように同時に許諾申請を送ることが推奨されておりましたが,最近は著者を代行して出版社が著作権の管理(とくに転載許諾の事務処理)を行うところが増えておりますので,まず出版社に先に連絡されることをお勧めします.出版社あるいは著作物によっては,出版社との話し合いのみで手続きが済む場合もあるからです.

Q8 自分の論文の中に,旧知の研究者から許諾を得て利用させていただいた図があります.「本誌に掲載された論文の著作権は出版社に譲渡されます」と投稿規定に記載されている場合,受理されたら,その図の著作権も譲渡されてしまうのでしょうか?

A8 譲渡されるのは,自分が著作権を保有しているものに限られます.したがって,設問のように自分が著作権をもっていない図は譲渡の対象外となります.