創立50周年に際して

金原優

一般社団法人 日本医書出版協会
前代表理事
金原 優

日本医書出版協会は1961年3月18日に創立され、このたび創立50周年を迎えました。この日を迎えるにあたり、これまで永年にわたり当協会ならびに当協会会員社を支えて頂いた著者・執筆者の先生方、読者、取次・書店、ならびに出版関連業界各位に改めて厚く御礼を申し上げます。

日本医書出版協会は設立当初から医学ならびに医学関連領域の専門書籍・専門雑誌を発行する出版社で構成され、現在は会員社29社で運営しております。医学専門領域で活躍されている先生方は日夜最先端の医療と生命科学研究を行なっており、そのために必要な情報は当協会を中心とした医学専門書出版社によって出版されております。発行された出版物は迅速かつ適切に先生方にお届けしなければなりませんが、日本医書出版協会はこれらの出版物が極めて高度の学術専門書であるという特殊性から、既存の出版団体では対応が困難な出版情報の提供、医学専門書店の育成と支援、流通体制の整備、著作権の保護等を目的として活動してまいりました。具体的には、医学専門領域の医師・研究者の先生方ならびに学生が必要とする専門書籍・専門雑誌の出版目録の発行、新刊書籍ならびにその内容を含むその他の情報提供、日本医学会総会その他主要学会における地域書店と連携した書籍・雑誌の展示活動、読者に出版物を安心して購入して頂くための日本各地の医学書専門店・医学書取扱店を対象とした専門書店の認定等を行っています。

日本の医学・医療界は80の医科大学、29の歯科大学、約9,000の病院ならびに全国約10万ヶ所の診療所を中心に医師約29万人、歯科医師約10万人、看護師125万人、その他関連領域の専門職の方々を含めて200万人程の市場です。日本医書出版協会はこの限定的な市場に緊密に接し、きめ細かい情報提供と出版物流通に対応してきました。日本の医療は世界でも有数の技術水準を有しています。それを維持し、更に発展させるためには医学専門情報が出版物として常時発行され、全国の専門領域の先生方に向けて発信されなければなりません。日本医書出版協会は取次、流通業界ならびに書店と連携し、適切に市場に届ける努力を重ねて参りました。

日本医書出版協会は創立当初から出版物にかかる著作権問題にも積極的に取り組んできました。医学専門書、とりわけ各専門領域の雑誌、定期刊行物は高度に細分化された研究成果と臨床報告を掲載しており、各領域の臨床医ならびに研究者の先生方にとっては貴重な情報源となっています。またこれらの文献は医薬品ならびに医療関連機材の開発にとって必須の情報であり、論文単位で利用される要素の強いものとなっています。必然的にそれぞれの論文は複写利用されることが多く、もともと発行部数の少ない学術専門雑誌は大きな影響を受けてきました。こういった複写は過去40年間の複写機器の浸透とともに増大し、コンピュータとインターネットが普及したことによる情報伝達と検索機能の進歩によって更に拍車がかかり、医学専門雑誌にとっては存立にも関わる大きな問題となりました。日本医書出版協会はこの問題に対応するため、1991年設立の日本複写権センターの運営ならびにその使用料体系の問題点を指摘し、出版者著作権協議会を通じてその是正に尽力、最終的には2001年に新たな複写管理団体、日本著作出版権管理システムを自然科学書協会との連携によって設立し、複写管理の適正化に努力してまいりました。

医学研究は最近の技術革新によってものすごいスピードで進んでいます。日本医書出版協会はその医学研究を読者により速く、より確実に伝えるための努力を重ねています。特に、近年の大きな変化は出版の電子化であり、電子技術の進歩によって情報の処理能力と伝達速度が格段に進歩しました。このことによって、より多くの情報が電子的な検索技術の進歩によって確実に入手できることになりました。今後はそれを可能にし、利便性と経済性を高める出版活動が必要であると考えています。しかし、一方では情報の電子化によって出版された情報を瞬時に大量に流通させることも可能になり、著作権の保護もまた重要な課題となりました。日本医書出版協会は出版社と読者をつなぎ、この出版の電子化の時代にどのように情報を流通させ、著作者と出版社の権利を保護しながら読者のニーズにどのように応えるかを追求し、医学専門書が幅広く流通することを目標として活動してまいります。それが最終的には国民を疾病から守り、健康で安心して生活できる日本の社会を形成することに貢献すると考えます。

日本医書出版協会は創立50周年を記念し、2009年11月に一般社団法人日本医書出版法人として組織変更を行ないました。今後は社団法人としてますます公益性を高めた活動を展開し、専門書出版業界の一員として著者・読者のご意見に耳を傾け、専門書の普及と医学研究の促進の一助となる努力を重ねてまいります。関係各位におかれましては引き続きご支援を頂きますようお願い申し上げます。